正義 | ナノ



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口元に苦笑を浮かべて、仮眠室を出た。
キョロキョロと視線を動かして、ミロさんを見る。
どうやら今は集中しているようだ。
が、次の瞬間ふにゃぁと脱力して机に突っ伏した。

「ミロさん、」
「氷雨ちゃん!」
「お待たせしてしまって申し訳ありません。お昼にしませんか?」
「うん!」

嬉しそうに頷いた彼に、思わずくすりと笑ってしまう。
少しだけムッとした表情のミロさんに眉を下げて、手を伸ばす。
ふわふわの金髪をゆっくり撫でて、笑った。

「すいません、笑顔がとても可愛らしくて」

一瞬体を硬くしたミロさんはキョロキョロと視線を彷徨わせてから、じっと見上げてきた。
少しだけ不満そうな表情をして、首を左右に振る。

「俺より、氷雨ちゃんの方がかわいい!」
「…ふふ、ありがとうございます」

目を細めて、その場を離れる。
席に戻り、お弁当を手に取った。

「どこでお昼にしますか?」
「氷雨ちゃんはお昼用意してあるから…天蝎宮でも良い?」
「ええ、構いませんよ」

一度頷いて、お昼ご飯作るのお手伝いしましょうか?と聞く。
お願い、と笑った彼に、この後戦慄を覚えることになったのだが…それはそれだ。
異常なレシピの改変は見たことない程で、元々優れなかった気分が更に悪くなった気がした。
色々止めたけど、止めきれなかった部分があったので、彼の料理にはこれからなるべく手を付けないでいようと誓った。
怖い…。
だが、食事自体は楽しく、かなりの話し上手なのだと分かった。
楽しい時間は過ぎるのが早い。
そろそろ午後の仕事をしましょうか、と申し訳なく思いながらも執務室へ連れて行ってもらう。
到着した執務室で、ミロさんとリアに明日から一緒に仕事をしてもらう旨を了承してもらった。
もっと反対があるかと思ったが、想像以上に気軽に頷いてくれたので一安心だ。
ふと、ミロさんが首を傾げた。

「でも、なんで?」
「お二人が、一番次の段階に移りやすいから、ですかね?」

少しだけ笑いながら、二人に告げれば、二人はそろってぱちりと瞬く。
…うん、意味が分かり難かったんだよね、きっと。

「明日待ってますから、ちゃんと来てくださいね?」

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