正義 | ナノ



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なんて言うか、聖闘士って心のケアしてないよね。
生死と一番関わって、友人とか仲間を失ったり、もしくは敵と戦って。
理由は違うけど、やってることって軍人さんとかと一緒だよね。
確か軍人さんとかって、精神的にきっつい仕事だった気がしたんだ、テレビとかの情報しか無いけど。
PTSDが絶対にあると思う。
もちろん、ちゃんとお医者さんに行かないと、わからないけれど。
でも、起こってても何ら可笑しくないよね。
しかもアフターケアがないから、そこまで行かずとも、ストレスとか酷いんだろうな。

「カウンセリングとは、どういったものなんですか?」
「えっと…私も少し齧った程度なので、完全に、とは行きませんが」

ムウさんは、何か相談事とかありますか?
首を傾げて問いかければ、少し悩んだ顔をした後に、こくりと頷いた。

「それを、私に聞かせてもらえませんか?絶対に他言しませんから」

にこり、小さく笑って、そう声をかける。
きょとん、と首を傾げた彼は、視線を逸らして押し黙った。
ゆっくりと口が開く。

「皆、自分の身を守る聖衣を蔑ろにし過ぎだと思うのです、にも拘らず、修復には協力しない」

そうして、簡易相談室は幕を開いた。
とりあえず、最初は傾聴する。
話を遮らずに、彼が言いたいことを言わせて、時折鸚鵡返しに質問するだけ。
自分がその過程で何を思っても、決して言わず、頷いて、寄り添う。
言いたいことが出きった辺りで、私の考えを伝える。
しかし、私には実感がない上、他の聖闘士の意識問題なので、この1回では、決して解決されるようなものではない。
と、言う訳で、ある程度のところで区切る。

「今日はこれくらいにしておきましょう。また、同じようにお話がしたいのですが、いつがお暇ですか?」
「…なら、明日の、同じ時間でもいいですか?」
「ええ、勿論です」

笑顔で頷いて、ムウさんの表情を見る。
これがどうなるのだとでも言いたげな表情だが、次の約束をしてくれたのだから、まあ、いいだろう。
それに、私は専門職じゃないんだよ?
大学の教職の授業で齧った程度で…とりあえず、教科書だった心理学の本もう一回確認しておこう。
暇つぶしの本として持ってきておいてよかった、本当によかった。
と、そういえばミロさんとお昼食べる約束してたな、と席を立つ。
さぁ、と血の流れの音が聞こえると錯覚してしまうような立ちくらみが襲ってきた。
机に手をついて、頭を抑える。

「どうしました?」
「いえ、ちょっと立ちくらみです」

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※管理人は心理学を齧った程度しかやっていないので、間違っていてもスルーしてやってください。
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