正義 | ナノ



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二人の反応を故意的に無視して、口角をつり上げた。
頷いてくれた二人にありがとうございます、と返して、自分の仕事を再開する。
いつもなら、もう少し話していても問題ないが、今日は早めに始めなければ、時間内に終わらないだろう。
思わず一度だけ、ため息を吐いた。
一枚、二枚…と進めて時計を確認するが、やはり、処理が遅くなっている。
内容が変わっているかと言えばそうでもない。
やはり処理速度の問題だろう。
眉を顰めて、米神の辺りを押さえる。
その体勢のまま、集中しきれないまま仕事を終わらせ、早々に部屋に帰った。
まず、明日のミロさんとリアの書類を分類し、並べ方を変える。
それから、ポイントとして教えるべきこと、必要なことをルーズリーフにまとめる。
折角なので、簡単なテストやプリントのようにして、しっかり認識させよう。
沙織様の急を要する仕事だけを終わらせて、ソファーにごろんと横になる。
ゆっくり深呼吸していると、気が抜けたのか、そのまま眠りに誘われてしまった。


ふと、気がつけば、私はベッドの上に横になっている。
何度か瞬いて、鈍い痛みを訴える頭に手を当てた。
一度、ゆっくり息を吐いて、緩慢に立ち上がる。
ミロさんとリアの書類と、私の仕事をまとめておいて、ふと、時計を見た。
朝の4時だ。
あと3時間程あるのなら、寝た方がいいだろう。
確実に体調不良だ、と日本から持ってきた冷却シートを額に張って、朝直ぐに行ける準備をしてからベッドに戻った。
意識を失うように直ぐに入れた眠りは、私の体調を多少回復させて、大体三時間で目が覚める。
軽めの朝食を胃に入れて、薬を飲んだ。
それから、荷物を持ち、執務室に向かった。

「…おはようございます」

体全体で押開けるようにして、扉を開く。
室内を見渡すと、ミロさんとリアさんの真ん中が空いているため、そこへ向かった。
私に気がついたのか、口元に笑みを浮かべて、手を軽く振ってくれる二人。
おはようございます、と挨拶をしてから、二人に書類を渡した。

「とりあえず、今日は、この紙に書いてあることに従って進めてください」
「わかった」
「りょうかーい」

二人がそのまま書類に向かったのを見て、時計を確認する。
今日はムウさんとの話が昨日と同じ時間にあるから、今日もいつもより減らしながら進めよう。
と、いつもより少なめの枚数を決めて、仕事を始める。
時折二人を確認することも考えなくては。
眼を閉じて、深呼吸して、ゆっくり目を開く。
5枚終わらせて、一度ボールペンを弾き、くるりと手の中で一回転させた。
リアとミロさんの手の動きを見て、表情を見る。
上手く進められているようなので一安心だ。
すぐに自分の仕事に戻り、予定枚数までを進めた。

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