ひとり | ナノ



08


いつものように、実験室へ向かう道すがら、呼び止められた。
茶髪で見た目20代の男と金髪の10代半ばの男。
二人とも同じ青い目をしていて、最初は、兄弟か何かかと思った。
それから、どちらも耐えきれないようにイライラとしていた。
誘いを断れば、男たちは更に顔を歪める。
いいから来い!と語気を荒げて腕を引いた。
通りは基本的に科学者しか通ることがなく、誰も二人を止めようとはしない。
そのまま、引きずられて個室に連れて行かれた。
屈強と現しても差し支えなかっただろう二人は、にやり、と笑った。
世話係が大事なら暴れるな、と言いながら。
思わず、眉を寄せた。
俺の表情の変化に驚いたのか、茶髪の男は楽しそうに笑う。
そんなに大切なら、仕舞っとくべきだぜ。
と、俺に囁いて、まあ、無理だろうが、と続けた。
そして、外見はまあ、平凡だが、若いよな、あの女。
下種としか言いようのない若干、恍惚の入った歪みは吐き気すらした。
金髪の男が、俺の腹部に蹴りを入れる。
瞬時に腹筋で防いだものの、続けざまに蹴られ、咳き込んだ。
その蹴りがスイッチだったのか、二人が俺を殴り蹴り始めた。
体を少し動かしながら、全身を使い、それほどダメージを受けないよう気をつける。
ドアが音を立てて開いた。
ちら、と見ると、そこには彼女が今まで見たことないような顔で立っていた。
セフィロスくんから、はなれなさい
来るな!思わず叫んだが、氷雨はキョトンとしてから微笑んだ。
ぶじみたいだね、よかった
そう言ってから、ゆっくり俺に近づいて、二人と俺の間に立った。
男たちに向かって、感情のない声で言う。
セフィロスくんをなぐりたいなら、わたしをころしてからにしなさい
俺は息をのんで、止めようとした。
しかし、タイミングが遅かったのか、金髪の男が、狂ったように彼女に殴り掛かった。
2発、3発と続くそれ。

俺の中の何かがキレた気がした。


死を前に彼女は笑う。
(気がついたら、俺は大人に押さえつけられていて、)
(あの人は白い服の医療班に囲まれていた。)

「このままでは危ない、早く治療室へ!」

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