悪魔の寵姫 | ナノ



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どこまでも気まぐれ

王城の文化祭のオープニングクイズ大会にデビルバッツチームが参加している。
それを聞いて、大田原が手をばきばきと鳴らしながら立候補。
それから、3チームが壇上に上がった。

「ちょ、ラブちゃん?!なんで私が出て、」
「頑張りましょう、氷雨さん!」
「いや、頑張りましょうじゃなくて、ちょ、誰か!ラブちゃんのお友達いませんか?!」

最後のチームとしてその場にいるのは、氷雨さんとウチの学校の生徒だ。
進に似ている…ああ、干徳さんか。
…何であの二人仲が良さそうなんだろうか、と思いながら、二人を見る。
干徳さんが、氷雨さんに抱きつくように、密着していた。

「ああ、進のマネか」
「え?何がですか?」

猫山の言葉に、眼鏡をあげながら反対の手でその二人を指差す。
ああ、と納得したような声が聞こえ、司会者が話し始めるのを聞いた。
曰く、最下位はメイド喫茶でメイド、4位はコスプレらしい。
ちなみに、1位にはエクスカリバーだとか。
始まった決戦は…何とも言えなかった。
大田原はよくわからない理論で台を大破させるし、泥門の一人もよくわからない理由でお手付き。
泥門女子チームは着々と点を取り、虎吉たちは押すタイミングすらない。
そして、一番予想外なのが、氷雨さんと干徳のチーム。

「ラブちゃん待って、この台壊しても清十郎さんには近づけないから、ね!やめようって」
「いえ、機械音痴の進様に近づくため、全ての機械を壊さなくては、」
「これクイズだから、機械を壊すための競技じゃないから、むしろ壊しちゃダメだから!!」

必死に干徳を止めようとする氷雨さんだが、全く止まる気配はない。
結果、今最下位は氷雨さんたちのチームだ。
あまりにお手付きが多いからか、○×問題に変わった。
氷雨さんが思いついたのか、ねえ!と声を上げる。

「ラブちゃん、清十郎さんは、機械は壊すかもしれないけど、メイドはやらないと思うの」
「…!」
「それに、やるからには1位を目指すんじゃないかな?ていうか、せめて、お願いだから3位にはなろうよ」

明らかに後半に本音が出ていたが、上手く説得できたのか、干徳の顔が凛々しくなった。
あの顔は若干進に似ているかもしれない。
なんて思いながら、最終問題。
蛭魔の妨害が入ったが、結果的に、氷雨さんたちは4位で、最下位は桜庭と大田原だった。

「ちなみに、コスプレ衣装は此方!ナースと王城の学ランです!」

じゃーん、と見せられたそれに、氷雨さんの頬が引き攣った。
そして、キリッとした顔を見せて、干徳に向かう。

「ラブちゃん、私、学ランが着たいです」
「いえ、男子制服は私が…氷雨さんは私が進様に近づく手伝いをしてくださるのでしょう?」
「…くっ」

悔しそうな声を出して、氷雨さんはふと眉を寄せた。

「ていうか、なんで王城の学ランなの?ドクターとかCAとかならまだしも!むしろ、此処は女子制服で」
「いえ、ナースです」

司会者の言葉に、にらみを利かせてから、はぁ、とため息を吐く。
すごい顔でナース服を受け取って、着替えてきてくださいの言葉に裏へ回った。

「司会者さん、サイズが小さい場合は?」
「頑張って下さい」

彼女の疑問の声に、いい笑顔で司会者が返す。
暫く経って、男子制服を着た干徳さんに引き摺られるようにして出てきた氷雨さんの顔は虚無だった。
だが、その衣装は、どうやら、胸の辺りのサイズが小さかったらしい。
白いナース服に白のニーハイ、キャップも被っている彼女は歓声で向かえられた。
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