籠球 | ナノ



2


むっ、と返すとぽかんとした顔。
それから、不自然に続きを促される。
照れているのが、繋がったままの手から伝わって来るように感じて、私も口を開いた。

「あとね、肌がきめ細かくて、羨ましい位綺麗。」
「そうか?氷雨も十分綺麗だと思うけどな。」

言葉に詰まったが、肌が、だ。と気を取り直した。
此処で待ってろ、と部室の扉の前で手が離される。
部室の前に座り込んで声を張り上げると、中から同じ様に故意的に大きくした声が返ってくる。

「あとねー、バスケに対する情熱っていうのー?あれ、綺麗だと思う。」
「…はぁ?!」
「私が持ってないから余計に思うのかもしれないけど、」

悔しいのとか、嫉妬するのとか、喜ぶのとか、嬉しいのとか、全部ひっくるめて綺麗だなぁって思う訳よ。
なんて、顔を見て言えないことを告げてみる。
中から反応が来ないので、不安になりながら、私も黙りこくる。
いつも通りなら、部室からでてくるのに後5分くらいかな、と時計に視線を動かす。
ふと、思いついた。

「バスケに恋してる藤真健司が好きだよ。」

部室のドアが大きな音を立てて開く。
中から顔を真っ赤にした藤真が出てきた。
思わず、瞬いて、首を傾げるが、手を引かれ、立たされる。
そのままぎゅうと抱きしめられた。
突然のことに頭がついていかず、状況が理解できない。

「お前、男前すぎるだろ。」
「えええ?」
「嘘だ、すげー可愛い。」

思考回路がショート寸前です、助けて星座の瞬き。
なんて、訳の分からないことを思っているうちに、彼の腕の力が強くなる。
強過ぎて痛みすら感じるが、その分熱さと心音が伝わってきた。

「冬の選抜まで、全然構ってやれねーけど、好きだから。」
「っ?!」
「氷雨が、ちゃんと、好きだから。」

熱烈な愛の告白に嬉しくなって、彼の背中に腕を回す。
私も力を限界まで込めて、深呼吸。
制汗剤と汗とそれから彼の匂いと、それは彼の努力の証で、彼の綺麗さの理由だ。

「氷雨、」
「ん?」

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