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綺麗な人


綺麗な人

彼は純粋に綺麗だと思う。
顔の作りや肉体、肌なんかも。
思わず、ため息を吐きたくなってしまうのだ、それこそ、色んな意味で。

「はぁ、」
「ん?どうした、氷雨?」
「んーん、綺麗だなぁと思って。」

部活後、一人シュート練をしている藤真を見ながら、答える。
む、と不満そうに眉を寄せたその顔は、それでも整っていて、やはり美形なのだと再確認した。
頬杖をついて、不満そうに彼を見る私とはきっと、雲泥の差だろう。
自分の顔が悪いとは思わないが、彼の様に整っているなどと、間違っても思えない。
だからこそ、藤真君と別れろだの、藤真様の迷惑になるなだのと呼び出しがあるんだろう。
別に顔面レベルはお前らと変わらないでしょうよ、好みはあるだろうけど。
なんて思うが、言ったら最後、何があるかわからないので、無言を貫くのが常だ。

「男に、綺麗とかっ、言うなよな…!」

走り回りながらもちゃんと返事してくれる藤真はいいやつだと思う。
ていうか事実いいやつなんだけど。
むしろ素敵過ぎてこっちが辛い、どれだけ惚れさせれば気が済む、なんて思う。

「ん、ごめん、でも、綺麗なんだもん、仕方ないじゃん?」
「だから、それがっ、とと…そもそも間違いだろ!」

ふわり、放たれたシュートはリングに触れることなくネットを揺らした。
流石ー、と拍手をすれば、ちら、と此方に視線を送ってくる。
それから、まぁな、と口角を片方だけあげた。
うわお、破壊力抜群。

「つーか、何が綺麗なんだよ、」

ボールを片付けた彼はゆっくり歩きながら、私に近づく。
私はじーっと、見上げて、彼が近くに来るのを待つ。
ほら、と差し出された手を取りながら、質問に答える。

「まあ、まず、容姿、あと鍛えられた肉体。」
「…お前、筋肉フェチか何かだっけ?」
「違う、藤真だけ。」

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