吸血鬼 | ナノ



5


「んー、まぁまぁかな?」

彼の名前にぴくり、と反応した職長と秘書。
海賊とどっちがお金持ってます?
と言う質問には規模によるかな?と返され、彼女ははぁ、とため息を吐いた。

「じゃあ、キッドたちにも連絡してみます。」
「ちょっと待って、用件聞いてないよ。」
「…頼んだらお金貸してくれますか、クザンさん。」
「そうだね、青キジとしては無理だけど、クザンとしてなら。」
「ほんと、ですか…」

彼女は感激したように震えた声で言う。
そして、勢いなのだろう、すごく嬉しそうな声で、続けた。

「クザンさん、大好き、あいs、…え?」

いきなり切れた。
というか、電話が切られた。
多分、目の前にいるアイスバーグと職長によって。
顔を見上げる。

「ンマー、そんなに困ってるなら、最初に俺に言うべきじゃないか?」
「いえ、これ以上アイスバーグさんにご迷惑をおかけする訳には…。」
「お前さん、海賊なのに海軍の大将と知り合いなんか?」
「海賊と名乗ってるのは船長だけです。クザンさんとは友人だと思っています。」
「金ならルッチが貸してやるッポー。」
「え、ホントですか?」

じゃあ、断りのお電話します。
ルッチの言葉に彼女は嬉しそうに笑って、頭を一度下げる。
それから、電話。

「クザンさん、上司の方が貸してくれるそうです!ご迷惑をおかけしました。」
「えー…折角貸しが出来ると思ったのに。」
「返し方の意味が分からないんですけどね。」
「え?今回はこの間よりランクアップさせようかと思ってたんだよ。」
「…この間のデートも意味がわからないのに、それより上って…いえ、答えはいりません。」

聞きたくないです。
と、言い切った彼女に苦笑するようなつれないなぁ、と言う返事。
ヒサメははぁ、とため息を吐いてから、もう一度ありがとうございました、と告げる。

「いいよ、ヒサメちゃんから大好きって言ってもらえたから。今度は此方から連絡する。」
「…テンションが高いときならすぐに言いますよ、そんなの。連絡、お待ちしてますね。」

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