吸血鬼 | ナノ



3


W7戦闘編

時折いる馬鹿な海賊が、今日に限っては、ヒサメが一番ドックにいるときに暴れた。
彼女は今までなるべく職長たちと関わらないように、というか、ほとんどの職員と関わらずにいる。
だが、暴れられたら、確実に狙われるのは、女である彼女。
はあ、とため息を吐いて、自分の首に腕を回している海賊を横目で見た。

「この女がどうなってもいいのか?!」

職長たちの動きが止まる。
その反応に彼女は眉を寄せた。
表情を変えず、イライラしたように手を動かす。
その掌に一枚のお札が握られていた。
ぐしゃ、と音を立てたそれは、一振りの刀になる。

「言わせてもらえば、この中で、私が一番厄介だよ。」

その言葉の瞬間、彼女を拘束していた海賊は地に伏していた。
驚きで目を見開く職長・職人と海賊。
彼らを気にすることなく、一閃。

「俺さ、最近苛ついてんだよね?」
「ひ、ひぃっ」
「逃がすかよ!」

かかった時間は1分にも満たなかっただろう。
彼女は一人で、海賊を倒した。
はあ、とため息を吐いて、自身が使っていた刀を踏みつける。
と、それは紙切れになり、ヒサメはそれを破いて、手の中で燃やした。
意識が残っていたのだろう海賊の一人が、唖然としたように呟く。

「まさか…5000万B、レニー海賊団の『符術師』ヒサメ…?」
「説明口調ありがとうよ、もう黙ってもらえるかな、坊や?」

かなりヒールのあるその靴で、彼女はその男の腹に踵を落とした。
それから面倒そうに頭をかいて、くるり、振り返る。
そこにはアイスバーグが立っていた。

「ンマー、そんな有名どこだったのか?」
「…1つ言うなら、不可抗力です。」

まあ、捕まえてもらって、海軍に突き出してもらってもいいですけど…。
と、手首をあわせて差し出しながら、彼女は首を傾げた。

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