吸血鬼 | ナノ



2


アルバイトを捜し、いくつかに目星を付ける。
掛け持ちいくつまでなら出来るかな…、とりあえず、短期で…。
ドン、

「っつ、すいません、大丈夫でしたか?」

考え事してたらぶつかるって、どこのドジっこだ、と思いながら頭を下げる。
ふ、と顔を上げ…るが顔が見えないので、更に上を向く。

「ンマー、大丈夫だ。」

聞こえてきた声と、視界に入った特徴的な髪型。
うん、これ、キャラだよね。
何でこんなエンカウント率高いかな…。

「仕事探してるのか?」
「ええ。」
「ンマー、ぶつかったお詫びに食事でもどうだ?」

そう言いながら、さら、と腰に手を回される。
え?え?と状況理解が出来ていなかったことに気がついたのか、女性が声を発した。

「セクハラです。」

これ、カリファじゃん?
はは、ははは、もしかしたら勘違いって思ってたけど、アイスバーグさん確定。
ああ、大丈夫ですよ、もっとセクハラな人間が此の世にはいますからね。
空笑いで返して、お誘いは嬉しいのですが、と言葉を紡いだ。
が、こう、なんか、上手いこと丸め込まれて、結果、今カフェ。

「短期で、なるべく給料がいいところを探してるんです。」
「ンマー、短期じゃないといけないのか?」
「ええ、一応、海賊ですし、5人養う必要がありますし。」

思わず溜息。
額を抑えれば、子供がいるのか?と驚いたように言われる。
…そうとられるか。

「いえ、船員ですよ、4人が妹で、あとその面倒を見ている兄です。」
「ンマー、それは大変だな。それで、ヒサメは何が出来るんだ?」
「そうですね、一番得意なことと言えば剣術か船大工ですかね?」

そう言えば、素敵に笑って、ならウチで働け、と手を差し出してくれる。
いいんですか?と首を傾げればカリファさんから書類を手渡された。
なんだ?と思って目を通せば、それは契約書類で。
臨時として、雇ってくれるらしい。
あと給料もかなりいい。
アイスバーグさんのポケットマネーが入ってるらしい。
嘘だろ、恩が返せない罠。
まあ、お言葉に甘えましたけどね。
(ヒサメ視点)

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