吸血鬼 | ナノ



W7-1


W7入門編

「待て、今なんて言った?」

ヒサメさんが信じられないという顔をした。
そりゃ、そうですよね、ヒサメさんは全然使ってないですもんね…。

「だから、お金がなくなった。」
「無くなる訳ないだろうが!誰がいくらずつ使ったの?買ったもの見せなさい。」

怖い。
そのまま買ったものを皆それぞれが自分の部屋にとりに行く。
今回はヒョウさんに言われたのか、船長もとってきた。
並べられたそれは、服、服、服、化粧品、服、服。

「…お前らはアレか?ファッションショーでもするつもりなのか?」

服だけで、山のようになっており彼女が怒るのも頷ける。
それに、お金を稼いでいるのは基本的に彼女だけなのだ。
そのお金を使わせてもらっているのに、この浪費ぶり。
どうやら船長も反省しているようだ。
誰からともなくごめんなさい、と言う声が聞こえる。
彼女が頭を抑え、はあ、と深いため息を吐いた。

「いらない服を出しなさい。今まで着てない服とか、ぼろくなった服とか。」

言われた通りにしていると、ヒサメさんとヒョウさんが海図を見ている。
どうやら、予定していなかったために近くでお金が稼げそうな場所を探しているようだ。
そして、ついたのは水の都ウォーターセブン。
歩き回るのは自由。
ただし、渡されたのは決められた金額と、あと自分の持ち物のみ。
いざとなれば自分の持ち物を売れと言うことらしい。
うん、仕方ないよね…。
ちなみに、他のものを売らないように、ヒサメさんが船に命令したため、ほとんど出入りが出来なくなった。
……自業自得とはいえ辛い。

「ヒョウはコイツらのお守りを頼む、ここは海賊も多い。」
「ああ、わかっている。」

そういって、彼女は船から降りて行った。
私たちを責めずに、いつも守ってくれる彼女は買い物を全然しない。
そんな彼女にお礼をするならまだしも…と自分に泣きたくなった。

「大丈夫だ、アイツは怒ってない。むしろ管理しきれてなかった自分に苛ついてんだ。」

気にするな。
そう笑ったヒョウさんは少し心配そうに彼女の背中を見送っていた。
(スズ視点)

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