ごみばこ/Holiday | ナノ
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Pラチェット長編 試し書き

帰り道は、駅からまっすぐで6分ほど。
毎日、生きるために仕事をする。仕事も、遅刻はないし、殆ど定時で終わる。時々の楽しみは自国、他国問わず旅行に出掛けること。趣味とまではいかないけれど、その思い出を写真におさめることが楽しみ。
毎日の遣る瀬無い仕事の愚痴や、小さな幸せを分かち合う友達は片手で数えられる程。何事も滞りなく、誰かを傷つける訳でもなく、時々の楽しみを見つけて、友達の彼氏への不満を聞くことも苦じゃない。不健康になるものは気をつけて食べているし生活の習慣もできるだけ整えている。なりふり構わず情熱を注ぐ何かを持っている訳ではない。しかし不自由なく、生きている。
街を時々走る、救急車のサイレンの音だけが、少女だった頃からの私を、ずっと、ずっと掴んだままで離さなかった。
心に濁流が流れる時も、せせらぐ柔らかな水流の時にも、その中心の柔らかいところに、彼のことをずっと閉じ込めていた。
彼は今でもむすっとして、丸くてアクアブルーの光を湛えて、いるだろうか。
その瞳の奥にあるたくさんの優しさを、知らされれば知らされるほど守りたくて、ずっと近くで見ていたかった。小さな時よりもずっと自由になったのに、何を見ても、何をしても、中心には焦げ付いた想いが燻っている。
たくさん走り回って、たくさん喧嘩をして、きっと、生意気なこどもだったね。
きっと何もかも、わかっていたんだよね。

───私は、あなたの言った通り大人になってしまったよ。ラチェット先生、どうしていますか。

回想しながらの長編を考えています
なんか、暗いかな?
でも暗いの書いてみたい。