実写/オプティマス | ナノ
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Reason

探索者

外に待機するバンブルビーのトランクから、サムとミカエラが金属製のアタッシュケースを持ってきた。ミカエラがピンヒールで踏みつけていたアレだ。

「これ?」

ユマが指さすと、ミカエラはケースを開ける前に、一緒に持ってきていた小型の溶接用バーナーを点火した。
シモンズの隠し部屋の作業テーブルに乗せられたそれを、ミカエラがそっと開ける。

『ッダ──ッ!!オレの仲間のディセプティコンがオマエラを見つけにくるぜ!』
「おとなしくして!」

びっくり箱を開けたように飛び出した小さなディセプティコンは、つながれた鎖をジャラジャラと言わせてジャンプしながら威嚇する。サムもレオも、シモンズも仰け反った。小さい、とユマは思った。
色々ありすぎて、だいぶん神経が図太くなったかもしれない。そんな風に思った。

「これディセプティコン?」
「しつけてるの?」
「試してる」

ユマがまじまじと見つめていると、ミニディセプティコンはハァン?と振り返った。

『何だよ文句アンノカこの──…、』

ユマは振り返ったディセプティコンに、小さく微笑んだ。オプティマスに教えられた。小型のトランスフォーマーは、その殆どが武器を持たない偵察型。きっとこの子は偵察兵なのだ、と思った。

「はじめまして」

ミニディセプティコンはフンッダ、と困ったようにそっぽを向いた。

「…馴染んでる、な」
「…さすがトランスフォーマーキラーだ」

レオの言葉にサムが被せた。シモンズは呆れて肩を落としている。

「俺は半生かけてエイリアンを探してまわったのに、それを普通の出会いをしてもうすぐゴールインなんですと言わんばかりに付き合ってるエイリアンマスターな娘さんだの、こんなチワワみたいにバッグに入れて持ち歩いてる娘さんだの、」

チワワ、に憤ったのか、鎖をはずしてくれよと言いながらかじっていたミニディセプティコンが、振り返ってシモンズを睨みつけた。

『やる気か?モジャ毛野郎、』

攻撃的になりつつあるディセプティコンを抑えるのはミカエラだ。小さな偵察兵はバーナーの炎に明らかに怯えている。

「おとなしくして、目を焼いちゃってごめんね。もう片方の目も焼かれたくないなら、これがなんて書いてあるのか教えて」

お願い、ととろけるように命じられたディセプティコンは、わかった、と大人しく足元に広がる資料に目を向けた。

『アア、知ってるよ。これはプライム達が使う言葉だ。読めないけどこいつらは知ってる。いったいどこでこいつらの写真を見つけたんだ?』

サムが写真を拾い上げる。

「"こいつら"?」
『アア。"シーカー"《探索者》たちさ』

今度はユマが尋ねた。

「シーカー?」

ミニディセプティコンが足で写真を探す。

『こいつらさ、もっとも古い存在だ。大昔のトランスフォーマー。何千年も前に何かを探しにここにやってきた』
「シーカーはディセプティコン?それともオートボット?」

ユマが小さなディセプティコンに問うた。

『ん〜両方だな。戦いと戦い。種族と種族。ただ共通点は探し物をしてるってことさ。なにを探してるかはわからない。オレは古くないから。そいつらならその文字読めるだろ。居場所、知ってるぜ』

シモンズが、天井の仕掛けから地図を引き出す。

「どこにいるか教えろ」

よしきた、と地図にレーザーで光点をあてた場所は、合計10ヶ所。
シモンズは素早く答えた。

「一番近いのはワシントンだな」

行こう、サムが梯子に登り出す。
レオとシモンズがそれを追いかけた。ミカエラは鎖を引っ張っている。ミニディセプティコンをユマが抱っこした。

「急ごう!!」

バンブルビーとジャズにそれぞれ乗り込み、一向はDCへ走り出した。
時間が足りない。
最重要人物のサムは指名手配中、そして相手は自分たちより高性能な精密機械の塊だ。
どんなに強いオートボットが味方でも、不安に不安が重なる。
ミニディセプティコンを抱っこしたまま、ユマは指輪を握りしめた。
どうにか見つからず、目的地まで着きますように。そればかりを祈った。

09/07/23