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――あれはキュウゾウの持っていた布じゃないか…!
必死に地面にすがる女の髪に結ばれた花柄の布。
つい最近見たのだ、間違えようが無い。
(……十年前にキュウゾウと会った女はあいつか!)
だが直ぐに疑問が湧く。
――若すぎる。
歳の頃は二十を超えてるとは思えない。
キュウゾウは当時、見知らぬ女が戦場にいた、と口にしていた。
“女”と言っていたのだ。
十年前で計算すると、目の前の女は十歳、ましてやそれ以下になる。
そんな娘は女と呼ばない。
ヒョーゴが気をとられていると、その女に帽子を被ったサムライが近寄った。
女を支え、次々と落ちそうになっている仲間に支えのロープをよこしていく。
――不味い!
カンベエの手にも支えのロープが送られ、
気付いた時には刀を手に、ヒョーゴの元までカンベエが迫っていた。
ヒョーゴは止むを得ず、支えるために地に刺していた刀を抜き、相手の刀を受け止めた。
衝撃で足が地を離れる。
態勢を崩し落ちるが、上手く下の階層に着地した。
目立ち過ぎたため、ヒョーゴは一旦退散することにし
ユメカ達は何も失うこと無く、戦いは終わった。