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「ユメカ殿、今よろしいか?」
「ん?うん」
カツシロウに声をかけられ、ユメカは頷いた。
カンベエにぺこりと頭を下げ、先を行くカツシロウの後を追い、
張り出し縁の方へと向かった。
――――やはりな。
現実離れした己の考えは間違いではなかった、と残されたカンベエは思った。
ユメカが描いた、キュウゾウの絵をめくった先にあったのは己の姿。
その隣には、知らないはずであろう
古女房シチロージの姿。
『イツモフタリデ』
当人同士しか知らぬ文字まで添えられて……
最初の出逢いから不自然だった。
初対面に向ける眼差しとは、
とうてい思えないユメカの瞳。
名乗っていなくても、呼んだ名。
――ユメカは確実に知っているのだ。
我等のことを。
そして……知っているが、知らないのだろう。
この世界を。
あまりに信じがたいことだが
異世界の者――
そう結論は導かれた。