samurai7 | ナノ
07
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「あの……ひょっとして貴殿は、
茶屋で薪を割られたお方ですか?」

カツシロウがヘイハチに問い、
ヘイハチは「左様ですが」と肯定の返事を返した。


茶屋で薪割りをしたサムライ――ヘイハチを探していたが見付からず、
とりあえず今日は諦めようと帰ってきたみんなだったため、
マサムネの家で出会えたことは、本当に嬉しかったのだろう。


リキチは鼻息を荒くしてまで喜ぶ。
あまり歓迎の様子に慣れていないのか、
ヘイハチは笑顔だが、少し困ったような表情を浮かべた。


そんな様子が微笑ましくて、ユメカはくすりと笑った。















ヘイハチのお米の話やキクチヨの偽物の家系図など、皆で沢山盛り上がり、
新しい仲間が加わった夜は、とても楽しものになった。


キクチヨが十三歳と言われて拗ねたことで、
ひとまずその場が落ち着く。
少し遅くなってしまったが、ユメカはマサムネの家のお風呂に向かった。















「ん?」


カンベエが機械にまぎれて置いてある、
見慣れないものに気が付いた。
そこにあったのは何かの冊子。


誰のものか……


その冊子を手に取り、ページを開く。


「……キュウゾウ」


驚くことに、そこにあったのは
二刀を構えたキュウゾウの絵だった。
細部までよく描けている。


うまいな。
そう思い、次のページを開く。しかし直ぐに……閉じた。


「あぁ……!」


裏返った声のした方にカンベエが目をやれば、
顔面蒼白といえるユメカが立ち尽くしていた。
お風呂上りのため、髪からは雫がぽたりぽたりと落ちている。


固まっているユメカだったが、直ぐに我に返り、
慌てて駆け寄り、カンベエの手にあるものを取る。


「っ……中……見ました?」


きゅっと唇を引き締め、カンベエの答えを待つ。


「……いや」


その答えに、ほうっと息を吐くユメカ。
様子を見ていたのか、キクチヨがふたりに近付いた。


「なんでィユメカ。
見せられない破廉恥なものでも書いてるでござるか〜?」


キクチヨは先程皆に家系図のことでからかわれたため、
憂さ晴らしがてらユメカをからかおうと面白がっていた。
その様子にむっとなったユメカ。


「そうそう!だから特に十三歳には見せられません〜!」
「なっ!ユメカまで俺を十三扱いしやがって!!」


うまく返してきたユメカに機嫌を損ね、ぶしゅっと白い煙を吐く。
すると慌てたコマチが、
再びキクチヨの元に駆け寄ってくるのだった。

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