samurai7 | ナノ
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そうと決めたら急いで食事をして、身支度を整える。


(趣味の絵でも描こうかな……)


こちらに来てからは描いていない絵。
しかし今まで絵を描くことは好きで、度々お手軽サイズのスケッチブックに描いていた。


スケッチブックは鞄の中に入ってるはずだと思い、自分の鞄を開く。
落ち着いて鞄の中身を見ていなかったため、
懐かしいような、少し寂しいような、不思議な気持ちが押し寄せた。


(あ……ケータイの存在をすっかり忘れてた)


鞄の底で眠っていた携帯電話を発見し、開いてみる。
しかし既に電池が切れていた。


(……まぁ、時間経ってるしあたりまえか。
充電器はあるけど差し込むコンセントが無いや)


再び鞄の中に入れ、目的のスケッチブックと筆記用具を取り出した。


「じゃ、ちょっと近くまで出てきます!」


そう言って、ユメカは外に出る。
マサムネの家は通路の行き止まりの位置になるため、通りすがりの人は来ない。
絵を描くには丁度良い環境だった。
気兼ねなくユメカは地面に腰を下ろす。


暖かな日差しを全身で浴びて
ぽかぽかしながら、スケッチブックを開いた。


「……うわー。これ、誰にも見せられないな」


あまりに大好きなため、今まで描いてきたのは
ほとんどがSAMURAI7のイラストだ。
しかもキュウゾウが大半をしめている。


(……なんか変なの)


まさかこの絵を描いている頃は、自分がSAMURAI7の世界に来ることになるなんて思ってもいなかった。
複雑に思いながらユメカは目の前の虹雅峡をじっと眺める。
そして、この景色を描くことに決めた。
自分の目で見て、肌で感じる景色。
集中して鉛筆を走らせる。すると絵が完成した頃には日はだいぶ傾いていて、
徐々に景色が茜色へと変化してきた。


「はぁ。疲れた〜」


しかしなかなか頑張ったため、少しは満足のいくものが描けた。
美しいとは言い難いごちゃごちゃとした景色。
この世界は今までいた世界と違い大変な環境だが……魅力的だった。
理由は簡単。好きな人達がいるからだろう。


ユメカは自然と歌が歌いたくなった。



巡り巡る 時を越えて 
あなたの笑顔に出会う―…



SAMURAI7のエンディング曲。
自分の今の時空(とき)を越えた状況が重なり、気持ちがこもる。
歌いながら再びスケッチブックに絵を描き始める。
気ままにSAMURAI7みんなの顔を描こうと、デフォルメして描いていく。


カンベエ


キュウゾウ


カツシロウ


キクチヨ


ゴロベエ


シチロージ


ヘイ…「おや、それはどことなく私に似てますね」


「っ!?」

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