samurai7 | ナノ
03
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次の日から、本格的にサムライ探しが始まった。
ユメカは普段と全く違う環境で一日過ごしたため、体のあちこちが痛くなっていた。
しかし早くみんなに逢いたいため、些細な痛みは我慢する。


サムライ探しは、効率よく二班に別れて行うことになった。
ユメカはキララとカツシロウと一緒に動くことになり、コマチとリキチペアとは反対の、
人が集まりそうな大通りに三人で向かう。


人の流れが激しい所についてすぐキララは振り子に集中するが、反応は全く見られなかった。
そのため目ぼしい人物に地道に声をかけていくことにする。
すると丁度キララの目の前を、サムライの格好をした人が通りかかった。


「あの……」
「あ!キララちゃん…!」


ユメカは思わずそれを止めに入ってしまった。


「……どうかしましたか?」
「あ。えっと……
あの人は止めた方が良いんじゃないかな〜って思って」
「何故です?」


キララが声をかけようとした人物は、ユメカには見覚えがあった。
お米を食べるだけ食べて野伏せりを討つことは偉そうに断った人だ。
無駄なお米の出費を減らすために、それらしい理由を考える。


「ほら、刀とか錆びてたし。おサムライもどきの香りが……」


失礼な理由も甚だしいが、この際仕方が無い。
仲間になる可能性は無いのだから。


「……!
ユメカさんがそうおっしゃるのでしたら……」
「偉そうにごめんね。でも本当にさっきの人は駄目だと思う」


それから暫くして、ストーリーを知っているユメカは余り意味がないと思いつつも、
目ぼしいサムライ達に声をかけ、お米を食べさせるために木賃宿に案内した。


「ただいまー」


玄関で声をかけてみれば、コマチちゃんがパタパタと可愛い足取りで出てくる。


「おかえりなさいです!
丁度今お米を炊いているとこですよ、皆さん入って下さいです」


案内した自称サムライ達は、その言葉を聞き、
ぞろぞろと室内に入っていった。


「失礼する、くらい言えば良いのにねぇ」


偉ぶっている様子にユメカが小声でそう呟けば、キララが苦笑いした。
カツシロウは何故か自分のことのように、申し訳ない……と思いつめた顔をしてしまう。


「ご、ごめん。口が過ぎました」


どうも余計なことまで口にしてしまうようで、
控えなければと反省し、一歩後ろに下がった。


「コマチ、そちらのおサムライ様への声かけはどうでしたか?」
「二人みつかったですよ!今、奥にいるです」
「まぁ、では今日見つかったおサムライ様は六人ですね」


キララは嬉しそうにそう言い、宿の奥へと入っていく。
他の皆もその後に続いた。

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