samurai7 | ナノ
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ユメカが断崖にあたる場所に移動する最中、
カツシロウとキララとコマチが別の式杜人に案内されているのに遭遇した。


「ユメカ殿!」
「ユメカさん!」
「ユメカ姉さまぁ!」


ほぼ同時に名前を言われ、ユメカは目を丸くした。
三人がユメカに駆け寄る。


「よくご無事で…!」


キララに潤んだ瞳で言われ、ユメカは胸の奥が熱くなるのを感じた。


「ありがとう。皆も……あ、カッツン大丈夫?」


カツシロウが驚いたようにユメカを大きな瞳で見返した。
ウキョウにボーガンを撃たれ、カツシロウが怪我をしたことをユメカは知っていた。
しかし今はその様子がひとつも見受けられない。
余計なことを口走ってしまったことに気付き、焦って言葉を付け足した。


「あ!なんとなく…!皆と一緒にいなかったから」
「あ、ああ。怪我の熱にやられてな。しかしもう大丈夫だ」
「それならよかった」


カツシロウはそのまま断崖の近くへと、気配を消して身を潜めに行った。
捕まっているキクチヨを助けることになる。
邪魔になってはいけないと、ユメカと農民達は離れた所で式杜人と共に待った。


響き渡る爆音。
今、どうなっているのだろうかとユメカは祈る思いで遠くのカツシロウを見る。
刹那、カツシロウが断崖の向こうへと身を投じた。


(…………!)


ユメカは式杜人が自分の手を握る手を緩めているのに気付く。
淡い期待を胸に、腕をひねった。
すると簡単に縛めは解ける。そのままユメカは下へ向かって走り出した。


「暫し待て!戦の最中に入れば死ぬぞ!」
「今行かないと駄目なの…!」


式杜人は呆れたように引き止める行為をやめた。
カンベエに身の保護を任せられたが、命に逆らったからといってどうにかなる相手でもない。
それに一度は引き止めた。


「変な女だ」


戦えないものが、どうしてあそこまで必死になるというのか。
式杜人は理解できずに小さく息を吐いた。

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