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【その声は脆く/Side Heroin】

明後日決行される女型の巨人捕獲作戦。
私自身がかつて5年前に失ってしまった実力の全てを持って必ずや成し遂げると決めた。年齢と共に衰える身体はもう無理は出来ないと叫んでいるような気がしたけれどその声に耳を塞いだ。

負傷したリヴァイの分まで必ず私は無惨に殺された4人の仲間たちの仇を打つ。と。たとえこの命が尽きたとしても。また彼に出会いまた彼に愛して貰えたから。決して悔いはないと思えるの。
あの時女型の巨人と視線が交わった時、疑惑に感じていた思いが確信に変わった瞬間、そして女型の巨人からエレンを守った時の記憶を失う衝撃の最中に見たもの。敵対する鎧の巨人、超大型巨人の勢力の中にまさかあの時現役時代の部下の息子に犯されそうになった私を助けてくれたアニが居たなんて。戸惑うエレンを私なりに励ましたけれど、心の中は未だに信じられずに居た。
どうして?何のためにあそこまでアニは残酷に人を殺せるのだろうか…。壁の中の世界に閉じこもっていては何もわからない。
本当は、戦いたくない。きっと1番辛い戦いになる。でもこのままでは壁の人類は死ぬ。私とあの人の大切なお墓も、きっと。
だからこそリヴァイの分まで守らねばならない。そのためなら戦う。と、自分が一番理解している。

「眠れない…」

エレンにバスルームで組み敷かれたあの時、感じたのは彼が別人になってしまった恐怖だった。
知らなかった、エレンが自分をそんな風な、男の顔で見ていたことなんて。カルラさんの大切なエレン。抵抗も出来無かった。なぜならエレンはこの壁の世界の希望で、そして万が一彼を傷つけて巨人化したらどうなるか分からないからだ。でも、エレンは強硬手段には出なかった。抵抗ができない私に対してエレンは逃げるように去っていった。

先程までリヴァイと、愛し合ったベッドに顔をうずめて先ほどの余韻はシャワーで洗い流しても、身体は彼を思い出してはまだ熱を持っている気がした。
忘れたくて無我夢中に一心不乱に彼を求めてしまった私を、血を見るとなぜか人肌が恋しくなるのは私が…。
浅ましくも私は戸惑う彼を組み敷いて、壁外調査で疲弊しているのに、私が居なかったときからリヴァイを慕う部下たちが殺されて、そして…怪我をしているのに、彼の身体を気遣いもせずに自らしたことも無い口淫を強行してみたり。恥ずかしい事を何度も口にして、彼の上に跨り彼に心ゆくまで愛されて、だけど、私はようやく私を取り戻した気がする。
見つめあってキスをするだけで幸せなのに。それだけじゃ足りないと彼に幾度も貫かれた身体はそんな生ぬるいことだけじゃ満たされないのだと、激しく求めてしまった。

「(ああ、バカバカ、本当に私ったら、…)」

これでは欲望丸出しの彼が軽蔑するようなふしだらな女ではないか。思わず頭を抱えうずくまった。耳元では彼の甘くて低い声が響いた気がした。でも、5年間の空白はそう簡単には埋められない。この作戦が終わり敵が判明次第彼は私と、しばらく二人きりで誰にも邪魔されずに私を囲いたいと話していた…。それは私も同じで。兵士長の立場の彼が許されることではないとわかっていても。
もっと心ゆくまで誰にも邪魔をされないあの地下街の片隅で、彼と抱き合っていたい。お互いの辛さを昇華するように愛し合ったこのベッドはまだ彼の香りがするようだ。
5年間、ずっと堪えてきた彼の温もりがこんなにも溢れて止まない。彼との大切な宝物を無くした、私の不注意が招いた事。罪悪感に溺れ離れた私を受け入れ許してくれたリヴァイ。もう抑えなくていいのよと、誰かに囁かれたような気がして私は自らを解放した。
彼はこの5年の間に兵士じゃなくなり筋肉の落ちた私の体を女らしくなったと言うけれど、そういうあなたの身体は元々筋肉質だったのにさらに筋肉に厚みが増して、ますます男らしくなって...そのたくましい腕に抱かれて眠りたい。脳裏には先程の私の愛撫に蕩けたどこか切なげに眉を寄せた彼の姿。

「リヴァイ、」
「眠れねぇのか?」
「そうなの、ちょっとだけ、一緒にいてもいい?」
「奇遇だな。俺も眠れねぇんだ、」

ちょっと。なんて、本当はそうじゃないくせに嘘をつく私。明後日の任務に備えて各自部屋で休むことになりその中で私の足はリヴァイの部屋に向かっていた。先ほどのエレンの事、今回の作戦が果たして成功するかどうか、考えることが山ほどありすぎて、ただリヴァイのそばに居たかった。

暗闇の中、激闘の末にエレンを取り戻してくれた彼を気遣うべきだとわかっている。でも、一度抑え込んで無理矢理彼の未来の為に諦めようと断ち切った彼への思いを断ち切らなくてもいいと許された時、彼に愛された身体はそのぬくもりを思い出して、どうしても離れたくなくて、ずっと可愛がってきたエレンが見せたあの男の情欲を孕んだあの眼差しをどうか消し去ってしまいたくて、迫る現実、ウォール・マリア奪還の果てにどちらかの命がもし果ててしまうと思うとお互いの温もりを求めずにはいられなかった…。

「っ、んんっ、」
「海、」

膝を負傷した彼が余すことなく私を見上げどこか熱を孕んだ眼差しで見ている。私の両胸を覆っていた下着をはらりと奪われれば、彼の目線は目の前の私の胸を見つめていた。射るような鋭い目付きに視姦されて、たまらなく胸が甘く疼いた。リヴァイは手を伸ばして遠慮なく両手で下から私の胸を持ち上げるように触れた。その感触が気持ち良くて、甘い声が漏れてしまう。

「んっ、んんっ、」
「チッ、」
「え、」
「デカくなりやがって、あの変態クソヤローに見せんなよ」
「えっ?」

指摘されて戸惑いを抱いた。自分では胸が大きくなった自覚なんてなかった。下着のサイズは昔から何も変わらないし、そのサイズの下着を買い足していた筈なのに...。首を傾げる私にリヴァイは胸の先端をきゅっと掴み器用な指先が愛撫を施し、私は甘く身じろいだ。

「下着なら買ってやるから新調しろ」
「そんなことないよ、大丈夫だよ?」
「明らかにサイズが違ぇだろ、」

元々スタイルなんて十人並位の身体付きで、ランク付けするのならリヴァイが今まで抱いてきた女性の中で私は最下位だと思っていた。クライスにも幼児体型の私が好きだなんてリヴァイはむっつりスケベのロリコン野郎だ。と、大声で叫ばれていたし...。

「太ったからだよ、鍛えなくなったし、立体機動も前よりも下手くそになったし、」
「いや、今までが痩せすぎだったんだよ、」
「ん、んんっ...」
「どこもかしこも柔けぇ、このまま食っちまいたくなる」
「っ、私、リヴァイ巨人に食べられちゃうの?」
「そうだな...、」

らしくもないジョークに乗っかってくれるお茶目な彼がおかしくて、私よりずっと年上の彼がなんだか可愛く見えた。

「あっ...!」

彼の顔が胸の中心に埋まるとチクッとした痛みが走る。そこは暗がりの中でも分かる鬱血痕が見えていた。それは私が彼に愛された証、エレンに抱かれそうになったあの時見られたそれを見たエレンが引き下がってくれた。男避けも兼ね備えていたりして。

いつまでも可愛い幼なじみのエレンが、エレンなのにエレンではない感覚なんて忘れたい。欲を孕んだギラギラしたエメラルドグリーンの瞳が今もこんな私を軽蔑しているような気がしてたまらなかった。

エレン位の年代の彼らは女性に対して幻想を抱きすぎだ。と思う。皆が思う程私は、清らかじゃない。私は生身の人間で、天使でも死神でもなんでもない、なんの変哲も無い、何処にでもいるただ大好きな人のそばに居たいだけ。そして、

「何があった?」
「え?」
「随分、積極的じゃねぇか?」
「っ、...、積極的な、私は...嫌い?」
「違ぇよ、女に押し倒されて好き勝手に抱かれんのが性にあわねぇだけだ。だが、お前なら悪くねぇ...、本当に...見ねぇ間に一丁前の女になっちまったな、」

私の何が彼のお気に召したのか分からなくて。褒められてるのか、からかわれてるのか。イマイチ彼の気持ちをその表情から読み取ることはもう止めた。私より何倍も年下のユミルやミカサや食い意地の張ったサシャでさえもみんな遥かに背が高くてスタイルがいいし、最近の子は本当に発育がいいのだと思う。女型の巨人扮するアニも小柄なのに胸があったし。まだ幼い10代の発展途上のクリスタととっくに成人した私はほとんど大差ないと思っていた。

「そんな、私なんて...人並みだよ?リヴァイが今まで抱いてきた人達の方が、いい女、じゃない?」
「昔の話はすんじゃねえよ。もう俺は...お前じゃなきゃ、駄目だ、」
「っ、んんっ、」
「お前に出会うまでの女はただの溜まった分の捌け口だ。愛なんかねぇよ、用が済めばあとはもう二度と抱かねぇ、そうやってきて、海...こんなに大切にしてぇと思ったのは後にも先にもお前だけだ」

嘘偽りない真っ直ぐなリヴァイの言葉が浸透していく。離れていたこの5年間、彼がもし女を抱こうと思えば、男らしい顔つきにその刃のように研ぎ澄まされた外見。それなのに優しく繊細な心、兵士長という立場も手伝いきっと色んな人が名乗りをあげたはずだ。
クライスが気晴らしに真面目なリヴァイを騙して女遊びの場に連れていった時にますます女性に対して心を閉ざしてしまったと聞いた。
彼がこの5年の間、私と同じく誰ともかりそめの一夜や身体を重ねずにいた事をクライスやハンジから聞いた。部下はリヴァイ兵長はどんな女に言い寄られてもなびかない男色だと影で噂されていたくらいに。頑なだったそうで。

私の胸に顔を埋めて胸の頂きを舐るように求めてくるリヴァイ。あの人類最強と呼ばれている彼が、こんな風に私の胸に顔を埋めてその温もりを確かめているなんて誰も知らないだろう。

「来い、海、」
「っ、」

先刻愛し合った余韻が生々しく身体にまだ残っていて。彼を見るだけで、低いその声に囁かれるだけでたちまち私の身体の中心はしとどに濡れてしまう。昨日からさんざん彼を受け入れた胎内はもう痛みを感じない。
見透かされたのが気恥ずかしくて両足を擦り合わせればそこは聞くに耐えない卑猥な粘着音がした。

「っ、んんっ、...」
「ああ、もうとっくに濡れてんのか...グズグズじゃねぇか」
「っ、言わないで...あっ!」
「クソ、この足さえ無きゃお前を今すぐにでも抱けるのによ...こんなことなら昨日もっとお前を抱いておきゃあよかった...」
「ああっ!」

ジュプ...と履いていた下着越しにリヴァイの指が私の膣口の浅い部分で擦り付けてくる。その感触がもどかしくて、焦れったくて、下着越しではなく直に触れて欲しくて身じろいでも背後からガッチリ抱きしめられる腕は力強くて頑として触れてくれない。抱き竦めた彼の腕の先は下着越しなのに触らなくても分かるくらいに私の愛液で濡れていて。

「すげぇ...」
「い、嫌っ、ダメ、...恥ずかしい!」

恥ずかしくて顔から火が出てしまいそうになる。暑くないのに汗が止まらない。太ももに擦り付けられたそれは間違いなく私のもので。彼に再会してから今まで誤魔化すように兵士長と出戻りの兵士のままの関係でいた。けど、昨日その壁を取り払い抱かれた身体は彼に抱かれた感触を思い出すようにたちまち順応して。

「海、」
「ああ、っ!いやぁっ、ん!」
「悪ぃ、ちゃんと触るから泣くなよ、お前に泣かれると駄目だな...お前の涙は見たくねぇ、」

耐えきれずグイッと下着を引き下げられ下着の片足を抜けばそのままベッドの脇に放り投げられてしまい、私は完全に一糸まとわぬ姿になるも、彼は服を着たままでいるからそれが悔しくて、たまらなくて...私は彼のインナーに手を伸ばし仰向けでも分かるくらいに雄々しく隆起した筋肉質な逞しい身体を露わにする。
浴室で見たエレンも立派な筋肉がついていたけどリヴァイはそれ以上むしろ規格外。背丈に見合ってない身体をしてる。人類最強と言う名を身体が体現している。この逞しい体に抱かれたいと思う人は沢山いるだろう。それでもこんな私を待っくれていたの?

「お前から挿入れてみろ」
「っ、はい...」

腕を引かれてそのままリヴァイが仰向けに寝そべると、私が彼の上に馬乗りになる形になる。
負傷した膝を気遣いながらの行為にもどかしさを抱いたけれど、1番もどかしいのは彼だろう。履いていたズボンと下着を寛げた彼の上に跨りながら、姿を見せた彼の大きなそれを掴んでゆるゆると扱けば小さく呻きながらそれは熱を孕んで硬く起立していく。

「んっ、んんっ...」
「っ、オイ...っ!急に...」
「は、ううっ、あっ!んんっ、苦し...!」
「クソっ...!」

早く、早く、それに貫かれたい。一瞬過ぎるペトラちゃんの笑顔が焼き付いて離れない。もしかしたらこのまま近くに居るんじゃないかと錯覚する。ごめんなさい...たまらずに私は予告なく自分から彼の硬く張りつめたそれを下の口で飲み込みそして受け入れた。

「あっ、んあっ、はぁっ、」
「っ、いきなり...お前っ!くっ、っ...!」

私のぎこちない前後に振る腰の動きで自分がいいと思う箇所を狙ってゆっくりゆっくり律動を始める。

「海、」
「っ!」

真下の彼がみっちりへその裏辺りにまで届いて快楽よりもその質量や圧迫感に苦しみの方が勝る。
でも私のぎこちない動きでは彼を気持ちよくさせてあげられない、リヴァイはこちらが息を飲むほど切ない表情で私を見つめていた。今にも泣きそうで繊細な彼の艶やかな表情はそこら辺の女の人よりも色っぽくてたまらなくなる。
加虐的な思考の彼の腕に抱かれるのは嫌じゃなかった。でも、今は私が彼を抱いている。
初めて彼に抱かれた時はただ痛くて、もう二度とこんなことしたくないと思うくらいにトラウマだったのに。今はあの痛みの欠片さえも思い出せない。

「あっ、うう...っ!」
「っ、海...」
「ん、ねぇ、...あっ、気持ち、いい?」
「っ、悪くねぇ、眺めだ...お前、エロいな、」

怪我をしている膝を気遣いながらそれでも私と繋がり合うリヴァイを真下から見下ろしていた。月明かりに照らされたリヴァイの肉体はまるで彫刻のように綺麗だ。普段見下ろす彼の目線は今は切なげに私を見上げている。両手を繋いでバランスを取りながら胸を揺らして繋がる部分をさらけ出して。私の胎内に飲み込まれてはまだ見える彼自身は私の愛液で濡れている。真下から飲み込んだ彼を快楽で乱したい。

「んっ、んんっ、ああっ!やぁっ!」

ぱちゅん、ぱちゅん、と一定のリズムで聞こえた水音が古城に響き渡っているのかと思うと恥ずかしくてどうしても理性を捨てきれない。フルフル腰を揺さぶり動かし決して抗うこともできず、ただ彼の本能に捕らわれてもう動けない。欲望のままに先程の余韻を残す胎内に彼をゆっくりゆっくり、引き抜きそしてまた飲み込んでを繰り返していると、リヴァイの焦れたような三白眼が私を睨んでいた。

「生殺しだ。やっとお前とこうしていられるのに...お前...俺の足がマトモになったら、覚えてろよ」
「っ、もっと、あ、ん...私が...リヴァイを抱くの...あっ、ああっ、」
「いいな、乱れるお前...エロくてたまらねぇよ」

押し隠した負けず嫌いの性格に火が灯る。控えめにゆるゆると腰を振り動かせばリヴァイは深い吐息を漏らし、耳元でゾワゾワとそれは背筋を伝い自ら飲み込んだ彼自身をぎゅうううっと締め付けてしまった。

「海、...」
「はっ、ああっ、だめぇ、見ないで...っ、」

ズプッズプッ...と、捏ねるような水音が響き、深く深く繋がりながら足を負傷したリヴァイは両足を投げ出したまま動かさぬようにと下ろすタイミングを狙いズンズンとリズミカルに下から激しく突き上げてくる。

「あっ、ああっ、んやぁっ、あっ、ふあっ!」
「お前...、乗馬が得意だとかほざいてたのは嘘か?焦らしやがって、...もう、待てねぇよ、」
「ああっ!んああっ!だめぇ!!」

屈強で、力強い腰の力だけで私を目線で犯し余すことなく注がれる視線に恥ずかしくなり突っ伏して彼の硬い胸板に手をついてそのまま倒れ込んでしまうと私を見つめる三白眼がどこか妖しい熱を秘めながら私が腰を下ろすタイミングに合わせて突き上げてくる。抱き合い繋がりあった上にある私の容易に感じてしまう突起を繋がりながら律動のタイミングで擦られリヴァイの首にすがりついていた私は淫らに何度も仰け反って胸を彼の顔に押し付けながら達してしまった。

「あっ、ああ、っ、待って...ああっ!」
「海、海...っ!」

リヴァイも私と同じ気持ちだった。空白の5年間はあまりにも長すぎた。明後日の作戦に備えて休まなければならないと瞳を閉じても眠れなかった。血を見ると何故か胸が騒いで、たまらなく人肌が欲しくなる。

「んんっ、あっ、ああっ...また、もうっ、...ああっ!」
「は...見ててやるからイケよ、もっと見せろ、っ、」

お互いに寝る間も惜しんで切なくなるほどに幸せな時間の中で束の間の安らぎを、こいすがる彼への温もりを求め分かち合っていた。
エレンもペトラちゃんも知らない、粗暴に見える彼が本当は誰よりも優しく、人を失うことに敏感で、こんなにも蕩けるくらいに激しく抱きしめて愛してくれて甘い言葉を囁いてくれる事なんて、私だけが知っていればいいのだと。私は綺麗な顔を快楽に歪めて達した彼に縋り付きながら愛しげにまた彼に口付けた。

Fin.
2019.09.10
【その声は脆く/Side Heroin】

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