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【パンドラの箱は閉じたままにして】

 調査兵団にとっても王政にとっても重要人物であるエレンとヒストリア。二人を周囲から隠すように、トロスト区を離れこの人里離れた山奥の小屋でひっそりと暮らす生活にもだいぶ慣れてきた。
 が、そんな時期が一番用心するに越したことはないと言う事をそれぞれが自覚し、あくまで兵士としてではなく、民間人を装う生活に見えざる敵との戦いがこれから始まろうとする中でが誰しもが口には出来ない疑問符を抱いていた。
 果たして自分達は一体何からエレンとヒストリアを守っているのか、と。そして、山奥まで身分を隠して兵団としての活動もせず隠居しているのか。と、疑問符を抱き始めていた。

 自分達の本業はこの壁を支配するあの巨人たちを駆逐して、この壁の失われた自由を再び取り戻し、そしてエレンの父親が真実を隠したエレンの生家の地下室へ向かい、この壁の世界の真実を知る事だったはず。しかし、今の自分たちはどんどん巨人から遠ざかるばかりだ。
 買出しに出かけたエレンとヒストリアを除く104期の賑やかなメンバーが(特にコニーとサシャのコンビ)いなくなり、人払いの済んだ山小屋には久しぶりの静寂が訪れていた。
 その静かな環境で、リヴァイはこれまでの溜まりに溜まった報告書やこれからしなければないエレンの巨人化実験のスケジュールをハンジと確認すべく、自分が一人事務処理に専念できるよう宛がわれた二階の部屋でさっきからずっとむっつり黙ったまま机に向かいっぱなしだ。
 戦いの中で生きる男にとって雑務とはあまりにも地味な作業だ。ペンを走らせる肩も鈍る。
 あの日、女型の巨人と交戦した際にミカサを庇って負傷した足の傷も既に癒え、彼の本業でもある兵士長として巨人たちとの戦いに向け怠けた身体を再び鍛えるため鍛錬を再開したいところだが、こんな山小屋で立体機動装置を使うわけにもいかない。
 自由の翼を背負う者が今は自由の翼を隠して生活しているとはなんという皮肉。自由の翼を奪われた男はこれまでは結構筋肉にものを言わせてきたが、そんな彼はあまり得意ではない事務処理に頭を抱えていた。
 地下で暮らしていた頃はロクに文字書きも出来なかったが、地上に上がり、彼は文字に必然と触れる機会が増えて。
 それに、元々彼は地下で生き抜く術を脳髄に叩きこまれ生きて来た人間。元々どんな人間が本性を隠して自分を騙そうとしているかわからないあのアンダーグラウンドの世界で頭は冴えている人間だ。
 海に教えられながらも身につけた彼の筆跡は決して汚いものではなく、綺麗に羅列された文字たちが羊皮紙に染み込んでいった。
 ふと、手にした懐中時計を見れば時刻は夕刻前。そろそろ少しくらいは休んでもいいだろうと向かい合っていた机から離れた時、部屋の向こうから控えめなノックの音が聞こえた。
 相変わらず気配までわかりやすい女だと、リヴァイは内心彼女がそろそろ来るのではないかと期待していたのもあり、無言で部屋のドアを開けて彼女を迎えた。

「わ!? 急に開けないでっ、」
「オイ。なんだ、やたら甘ったるい匂いがすると思ったら懐かしいモン作ってたな」
「覚えてる?? 懐かしのクッキーを焼いてみたの」
「あぁ、覚えてる。他人の作った食いモンを疑いなく食えたのはお前だけだ。それがうめぇモンだったから尚更忘れねぇよ」
「リヴァイ、どうしたの?? 確かに立体機動出来ないし、デスクワーク漬けで疲れてるんだね」
「オイ、」

 この壁の世界で乳製品は、ウォール・シーナに居住する位の高い人間じゃないと滅多に口にできない。中でもその乳製品を原材料とする焼き菓子はますます希少価値の高いものだ。
 平民や三兵団の中で一番疎まれている 自分達では人生の中でもそう簡単に口にして食べられるものではない。
 トレイには彼の好きな紅茶も添えてあり、甘いものが苦手そうに見えて、実は甘いものもそんなに嫌いではないリヴァイは久しぶりに見た焼き菓子に手を伸ばしていた。

「こんな時によく手に入れたな」
「確かに、兵団の食堂でも滅多に出ないのに。アルミンたちがたまたま買えたみたいで、それで食べたいから久しぶりに作ってって言われて作ったの。ほら、この終わりの見えない隠居生活でみんなもそれなりにストレス感じてるし甘いものでも食べてほっと一息つけるかなって。それで、」
「俺以外のガキ共にも作ってたのか」
「?? そうだけど、お父さんから教えてもらった秘伝のレシピだったから」
「地下で暮らしていた時もあちこちから材料かき集めてたまに作ってたな」
「そうね。あの時は、リヴァイが甘いもの好きだって聞いたから……」
「そうか、全て俺の気を引く為か」
「ぅ……」

 リヴァイに低い声でそう囁かれ、見抜かれてしまった本心に海は真っ赤な顔で俯いた。
元々地下に堕とされるその前から彼女は父親から料理を教わっていた。
父譲りの彼女の料理の腕前はなかなかのもので、そんな彼女が地下で初めて自分に料理を振舞った時の事を思い返していた。
 立ち話もなんだと部屋の中に彼女を招き、机の上で彼女が淹れてくれた紅茶と共に甘い焼き菓子を久しぶりに頬張り、リヴァイは目の前の彼女を見る。
 当たり前のように。座る椅子が無い簡素な自分の部屋でとりあえずと自分のベッドに腰かけた海を見る。
 何気ない二人きりの空間の中で、リヴァイはようやく息が出来た様な気がした。
 事務作業で根詰めていたせいか、海とふたりきり、誰も邪魔するものは居ない。
こうして目が合えば、いつも彼女は迷わず弓のように細められた眼差し、微笑みをくれた。
 海の眼差しには地下街で腐るほど見てきた人間の浅ましさは全く感じられなかった。
だから彼女と初めて目と目があった時、すぐに察した。
 彼女は純粋に自分をいつもひたむきに見つめてくれているのだとリヴァイは信じて疑わなかった。
だからこそ、彼女を純粋に思い、そして彼女のくれる無償の愛を今もこうして噛み締めていた。
 かつて地下でもう二度と、誰も愛さないと誓っていた自分がまさか目の前の彼女に心奪われるとは思っていなかった。
 当時はまだ幼く、色香とは無縁なあどけなさの残る彼女に胃袋ごと掴まれるとは正直思わなかったから。
 今思うと彼女に惹かれたきっかけは他にもあるが、彼女の手料理、人の手料理に餓えていた自分にとっては海に心惹かれたきっかけの一つだったのかもしれない。
 ダメだ、今目の前に彼女がいるのは自分には刺激が強い。リヴァイはカップの紅茶を独特の持ち方で一気に飲み干すと、それをコン、と机に置き、そして低い声で海に吐き捨てた。

「俺は作業に戻る。休憩は終わりだ。用が済んだらとっとと出ていけ、」
「え……」

 部屋の中で椅子もなく無言で自分が寝泊まりしているベッドに当たり前のように腰かけた海に対し、リヴァイは事務作業と自由に飛び回れないうっ憤が溜まっているのか、この先の見えざる現状、自分達はこれからどうなるのか、新兵達が口々に抱く疑問符の中、自分自身がその胸に抱えた疑問符を抱えていることに気付いた。
 そして気付いたからこそ、リヴァイはこの空間で今存在するのは二人きりと言う現状に対し、慣れない事務処理やらで持て余している情欲の炎がふつふつと煮えたぎるように熱くなり、まだ太陽も昇っているこんな時間にも彼女に欲情している自分の浅ましさ、五年ぶりに触れ合えてから止まらない欲望に笑うしかない。
 そして、その欲望のただ一人の対象者でもある海が目の前に居る事で、強靭な精神力を持つはずの男はこんなにも容易く彼女の前では呆気なく理性のタガが外れ抑えきれなくなるのだと感じていた。
だからこそ、彼女を遠ざけて素知らぬふりをしようとしたが。
しかし、今の言い方は少しトゲがあり、たちまち彼女の表情を曇らせていた。

「っ、いや、俺は――」
「ごめん、なさい。リヴァイ。邪魔して。それじゃあ私、お外でエレンとヒストリアの薪割り手伝って来るから。リヴァイも集中できないもんね、」

 自分の言葉の真意が見えず、彼を怒らせてしまったのかもしれないと、海は悲しい顔で部屋を出ていこうとするのでリヴァイは悲しそうな顔に先程の発言を悔やんでまた手首を掴んだ。

「違う。……お前とこうして密室に居ると……俺がもたねぇんだよ」
「え??」
「お前と密室に居ると、駄目だな」
「えっ?? ン、あっ……!」
「このままだと俺は、地下街の連中と同じだ。自制心の無ぇクソ野郎になり下がっちまう」

 戦う事でしか価値を見いだせないのに、そんな自分が翼を無くして今は机仕事がメインとは、リヴァイは情欲を持て余していた。そして、そのうっ憤が溜まっているときにちょうど良く海が来たのが悪かった。

「っ、いいよ……」
「海……」
「なって、私の前でなら……どんな姿でも、気にしない、よ」
「は――お前な……とんでもねぇ、殺し文句だな」

 部屋を出ようとした華奢な腕は簡単に自分の腕の中に掴まった。相変わらず、彼女はあっけない。だから簡単に自分に捕まる。
 そして、彼女も逃げ出せる術を知らない、だから今こうして自分の腕の中にいるのだとリヴァイは知る。
 躊躇いがちに開いた柔らかな海の口腔内へ吸い込まれるように、リヴァイは自らの唇を重ねていた。

「は、……っ、あっ、んっ、」

 深みにはまる様な、まるで互いの唾液を交換し合う様なキス。飲み込めきれない唾液が顎から下へとそのまま伝って落ちていく。さらに唇を合わせまた重なる唇。

「あ……んッ、んんっ……リヴァイ……もし、かして……!」

 愛し合う2人が五年ぶりに再会したのだ。五年間、彼女を思わない日はなかった。
お互いにまるで甘い菓子を食べるように唇を合わせながら、性急に服を脱がせあいあっという間にお互い裸になる。

「あぁ、あったけぇ……」

 その隙間をただひたすら埋め合う様に幾度も肌を重ねていた。
もう、お互いしか見えない。表面上は上司と部下としてつかず離れずの距離に居る二人が誰もいない密室になるだけで、言葉なく抱き合うだけの獣のように抱き合う関係に変わる。
 そう、まるで本能のまま生きる獣のように本能に身を任せ求め合うのだ。戦いに生きる人間同士、いつ死ぬかわからないからこそ。生の実感を求めるように抱き合っていた。

「あ、はっ、リヴァイ……」

 キスだけで終わる触れるだけだった関係で満足するはずがないのに、海は戸惑いの声を上げて強請るようにリヴァイを見る。

「……海……」

 こんな夕暮れ前から。しかし、咎めようにもリヴァイの目は完全に欲に染まり据わっていて。
 最愛の男がキスだけで情欲に濡れた顔でつべこべ言わずに今すぐ抱かせろ。と訴えているのだ。
 海は幾度も見た事のある彼の地下街でも、地下を出て地上に出てからも、何度も何度も。
 目にした獣のような眼差しを全身にくまなく浴びて、観念したかのように瞳を閉じ、のしかかってくる彼を拒む事を諦めた、否、許した。

「相変わらず軽いな、」
「そんな事ない……」

 軽々と、彼の血管の浮いたその腕に抱きかかえられ、リヴァイにそのままシーツへ組み敷かれてしまえばもう海に反論の言葉は思い浮かばなかった。いや、求めていたのは自分だ、戦いの中でしか生きられない自分達が愛を交歓する瞬間、戦いに生きる獣なら、本能で交わえ。

「あ、でも、……ヒストリアとエレンが……外に……」
「気にすんな。窓も閉まってる。見えねぇよ、それに。たまには休息が必要だろ、お前も、俺も、」

 彼女はどうしていつも脱がせやすい服装なのだろう。無自覚なのか、それとも彼女も期待していたのだろうか。

***


「んあっ、あ、ひ、あっ、あっ、あっ、そこっ、だめっ、」
「は、っ……」
「っ、休憩って、嘘つき、っ、全然っ、やすめな、あっ」
「これも息抜き――だろ?」
「んあ、っ、ぁあああンッッッ、ッあ、ひ、あぁ〜〜〜〜……ッッッ」

 そんなことをぼんやり思いながらリヴァイは変わらずいつものように海を抱く、時に優しく、時に、獣のように、本能を剥き出しにして。
 自分だけしか「男」を知らない海の具合は相変わらずよく馴染む、不器用なくらいに自分だけしか愛せない女を自分の香りが充満する寝具に押し付けて欲望を放つのは酷く興奮する、そしてほんの少しの背徳感が背筋を伝うのだった。

「海……」
「あ……ッ!! だめ、ぇっ、んあっ、ひ、んああ〜〜〜!!!」

 しかし、言葉とは裏腹に自分の愛撫でトロトロに蕩けた身体は――ずぷぷぷぷぷ……と生々しい音を立てて我が物顔で侵入してきた彼を甘く締め付けるしかなかった。

「〜〜〜ッン、ん、っ、はぅ、う……っ〜〜〜〜ッッッ!!!」

 まるで本当の発情期の獣みたいに。四つん這いに伏せて声を漏らさないように必死に耐えている海の姿に満足したように、ゆっくり挿入し、そして背後からずっぽり突き上げた。

「海……」
「あっ……」
「可愛いな、」
「っ、そん、なっ、あっ、」

 さわやかな午後に似つかわしくない肌と肌をぶつけ合う音、海から止めどなく溢れる愛液が潤滑油となり、二人の抽挿を助け、リヴァイの獣みたいな荒い息遣いと、海の悲鳴で満ち溢れ、忽ち淫猥な空気に包まれていた。

「ん〜〜〜〜ッ!!!! はっ、あああッ、んあっ!?」

 背後からずっしりと伸しかかり、細身で小柄なのに重量のある彼の身体がのしかかりまるで黒い檻のように彼女を逃げられなくさせる。
 戦う事しか知らなかった巨人の血にまみれる事に生きがいを見出していた無垢な少女が自分の腕の中で甘い声を上げる。
 誰も知らなかった彼女の女としての悦びを引き出したのは紛れもなく自分である。しかし、若干声が大きかったのかリヴァイは買出しの若き新兵達が帰ってくる気配を察知できないと海の焼け焦げて短くなった肩下の襟足を掴んで引っ張ると耳元で荒い吐息に乗せて囁いた。

「オイ、さっきからイキっぱなしの所悪いが、もう少し静かにしろ……な、」
「っ〜〜……」

 何度抱いても、触れても彼女は慣れないのか気恥しさから思っている事とは裏腹な言葉で自分に抗おうとする。
 濡れたシャツの様に纏わりついて離れない欲望の中で海は確かに女としての喜びを見出しつつあった。
 普段は「嫌」とか「やめて」とか、それしか言えないのに。

「こうやって挿入れちまうと、お前は簡単にグズグズに濡らして……素直になるな。なんなら……ずっとこのまま挿入れっぱなしでいるか」
「は、あうっ、んっ、」
「俺のが馴染むまで……」

 驚きに振り向いた海の胎内を思いきり突けば海は仰け反り、声が大きいと指摘されたので慌てて顔を埋めていた枕から顔を上げ仰け反って甘い声を漏らしていた。

「あ! ひ、やぁあ、ッ、は、や、んっ」

 与えられた熱量の深さ、蕩けた顔をリヴァイに向けて、口の中に隠れた舌を引き出すようにリヴァイは深くつながり合いながら器用に律動は止めず、海の口の中に薄い唇から割開いた舌で欲望を引き出した。
 もっと――……こっちに来て、海なりの愛情表現、彼女も休憩を欲していたのだと分かるなりリヴァイは嬉しそうに彼女の舌へ自分の舌を絡ませた。
 じゅううっっ、と、深く吸われた後にまた合わさる唇。

「ン、んんっ、」
「残さず飲め――……」

 互いの間を伝う2人の交ざり合う唾液さえも甘い媚薬に変わるのか、言われるがまま海は口を開け、こくん、こくんと、喉を鳴らして嚥下した。

「あ……んむ、はっ、んっ」
「海……」

 ちゅ、ちゅ、と、小鳥がついばむようなキスも好きだ。しかしやはり、だんだん深くなる海と交わす熱いキスに自分は弱い。
 互いの舌同士を絡め合わせ、酸欠になる前に苦し気に口を開ければリヴァイは苦笑しながら名残惜しむように唇を離す。

「まだへばんじゃねぇぞ。どうにも加減が出来そうもねぇ」
「っ、死んじゃ、うっ……はっ、あっ! んっ、」
「ああ? そう簡単に、人間が、死ぬワケ、ねぇだろうが……っ!! 酸素が足りねぇなら送り込んでまた起こしてやる」
「ひっ――!! ああぁ、っうんんん〜〜……!!!」

 飲み込み切れなかった唾液が垂れて、シーツに染みを残した。毎回行為の度にシーツを変えるのは兵舎ならいいが、今はあくまで共同生活。洗濯を担当している女子メンバーへ毎回何と言い訳するんだと、海は振り返りながらも彼を睨む。
 しかし、そんな潤んだ眼で睨まれても正直、オカズにしかならないのだが。彼とのキスに夢中になっていると、突然再び彼の律動が深まり、背後からの交わりは海の一番感じる部分を容赦なく突き上げてくる。

「あっ、り、ばい、んあ、やめ、あっ、やめ、て……ぇ!!! んっ、ひあ、っ、ん〜〜〜ッッッ!!!」

 自分の弱い部分に屈してしまわぬよう、必死にシーツに逃げ場を求めればリヴァイの手が自分の手に重なった。
 気を抜けば今にも飛んでしまいそうな刺激の中、交尾をする獣のような体位で交わり長い時間楽しんでいた果てが見えた。
 パン、パン、パン、と。それは自分達の下半身から発せられているあまりにも卑猥な音。リヴァイはグリグリと開いた子宮口を一際強く突き上げ、彼の亀頭が容赦なく海の閉ざされた子宮口に入った、それと同時にグリッと、愛液まみれの陰核をぎゅううっと潰されれば、今までリヴァイの手によりこれまで知らなかった快楽を見出された戦う術しか持たなかった海は耐えられず仰け反り、涙を流しながら達してしまった。

「は、っ、んっ、んっ――……!!!」
「っ、は、……あっ、」

 達した瞬間、口をリヴァイの唇で塞がれ、海の声は彼の口の中に閉じ込められた。ガクガクと震える身体を65キロの体重で押さえつけ、声にならない悲鳴を上げ、普段のように、当たり前のように、ビュクビュクと並々注がれた彼の精液で腹の奥が満たされていくのを感じた。

「はァ――……」

 役目を終えたリヴァイの雄芯がそのまま力なくズルンと、抜けた。
吐き出した欲はいつもより濃く量が多い気がしてリヴァイは散々昨晩も彼女のナカに出したのに、それでもまだ満たされないのかと反り返る自分の愚息の凄まじい回復力にいい年した三十路が、と自嘲した。
 実年齢に反比例して下半身の年齢は地下街に居た時と何も変わっていないらしい。

「は、あ、っう……ん」
「オイ、エロい声出してんじゃねぇよ……また勃っちまうだろうが」
「っ、あっ! 知らな、っ」

 抜く間際まで海は普段出さないような甘い声で名残惜しむように自分が出した精液をぎゅっと漏らさないように引き締まった尻に力を込めた。
 まるで白桃みたいなケツだと、リヴァイは上半身をずらしてその真っ白な臀部に噛みつくと、海も一番女性が気持ちいいと感じる子宮口を何度も突かれてたことで甘く脱力し、海の下肢の間からとろとろと収まりきらなかった精液が逆流してシーツにまた染みを作る。
 もう、これで気が済んだろう。そう言いたげに脱力して股の間から収まりきらずに逆流した白濁を臀部から滴らせた海の腰をもう一度掴むと、またバッグでもう一度半勃ちした自身を扱いて勃起させると、そのまま何の焦らしもせずに逆流した自身の吐き出した欲に栓をするよう、突っ込んだのだった。

「ひ、あっ、んあ……っ!!!! あっ、も、イったばかりなのにッ、また……イッ、ひっ〜〜〜!!!  あんんんッ!!!」
「あぁ、だから、声出すなって。エレンとヒストリアが聞きつけて部屋に来たらどうすんだよ……気まずい思いすんのはお前だろうが……俺はあいつらとはそれほど付き合いも長くねぇし、構いやしねぇが……」

 さっき出したばかりだと言うのに。すぐに熱を持ち反り返る自身にリヴァイは苦笑しながらもバックで海の中に自身をはめ込んだ。そしてまた繰り返された律動を再開する。
 彼から絶え間なく送られる抽挿は海の頑なな理性を溶かして、本能で支配するのだ。

「ハァ、はァっ、っ、お前のナカが…欲しいって絡み付いてくるから……だ。本当は、もっと欲しいくせに、嬉しいんだろ…ッ。身体みてぇに、上のおクチで、素直に欲しいって言えよ、ッ……!!!」
「んぁあああっ!!!! はっ、あっ、あ〜〜っ!!! ほしぃっ……っ、り、ばいの、あっ、欲しい、っ……私のナカ、に、あっ、だしてぇ……!!!」
「お前が望むなら、」

 ギュッとシーツを掴んだ海の手に自分の手を重ね、小柄な自分よりも小さな海の手を包み込むようにリヴァイはうなじに口づけると、そのまま甘く噛みついた。

「ひっ、あぁあっ!! きもちいとこ、いっぱい、やだぁっ、あ、だめ、そこっ!!  くる、からぁっ、あぁ〜〜〜っ!!」
「は、イキっぱなしだな、」

それさえも彼女にはたまらぬ刺激なのか。海は泣きながらガクガクと身体を震わせてまた深く達した。

「あ――……いい子だ、海」

 そのまま逃がさないと言わんばかりにリヴァイの逞しい腕に手も後ろに取られ、子宮に届いて今にも腹を突き破りそうな程勃起した彼のモノにしかもう思考が回らない。
 自分の意志ではなく本能が気持ちよさから愛液をまき散らし、リヴァイの亀頭がごりゅごりゅと子宮口を潰す度、掻き出され、飛び散った愛液でシーツはあっという間に水分を含んにその肌にもひんやりとした感覚で埋め尽くされた。
 ゴリッ、ゴリッ、と幾度も子宮口を潰され、もう何も考えられなくなる。
 たた、気持ちいいと、もっと彼に奥深くまで貫かれたい、欲しいと。浅ましく望む自分がいた。
 「もう耐えられない。このままじゃおかしくなる」振り返りながら涙目の海がそう懇願すれば、リヴァイはまるで最初から分かっていたかのように。
 ニヤァ……と怪しく口元を歪めて笑い、海が望むまま、子宮を突き破る勢いで激しく、突かれて。

「ああっ、んん、ぁ〜〜〜っ!!! ッッ、ああっ!!!」
「ッ……っ! くッ――俺も、イきそうだ、」
「あ……んぅ……んはぁ……」

 リヴァイの肩書である「人類最強」の名に恥じない彼の凶暴なソレが奥深くまでゴリゴリと突き刺さっており、さらに逃がさないとばかりに腹まで手を回され、もう片方の手ですっかり小さく勃起した陰核も擦られれば狂いそうなほどの恐ろしい快感が海の小さな身体を巡り、そして。

「ひあぁッ! あっ、だめっ、一緒に擦ったりしちゃ…っ、」
「その割には、てめぇが離したくねぇと締め付けてくるんだがな」
「ひあっ、や、やぁ……ッ! あ、またきちゃ、あぅぅぅぅッ〜〜!」
「っ、いい、から、イケ、よ……俺も、イク……っ!」
「あああ! ひ、っ、また、きちゃ、っ! ふぁ、あぁぁッ〜〜〜!!!」

 甲高い声で海が甘くまた達した瞬間、彼と繋がっている間からサラサラとした体液を噴出し果てた事でシーツにピュっピュっと体液がまた染みを残して濡れた。

「は、また吹いたな」
「っ、あっ、んっ……!」
「連日シーツを汚した言い訳を考えたいが、そろそろネタ切れだな。諦めてお前が手洗いしろ。お前が汚してるんだからな」
「っ、あっ、んっ、ひどい、っ、汚させたのは……リヴァイじゃない……っ」

 しかし、海が達しても彼はそれだけでは飽き足らずに責めるように腰をぐりぐりと動かし、奥の一番弱いところを責め立ててくるのだ。これでは休む暇も無い。
 ただでさえ前戯の時点でトロトロにされていたのに。当たり前だがもうこの休憩時間と言う名の終わりなき行為が開始されてから海には抵抗する力はほとんど残っていない。

「海……」

 彼の低い熱を孕んだ甘い声に囁かれ、その声に弱い海はもう逆らうことは出来ないと覚悟した。

「っあ、もう、無理いいっ……あん、や、んんん〜〜〜ぅッ!」

 彼に腰を掴まれたと思うと、なんの焦らしもなく一気に奥までどちゅんっと、挿入され、その強い衝動に海の目の前がちかちかし、圧迫感に息が詰まりそう。
 組み敷かれ逃げられることも許されない非力な海にかろうじて出来るのは、目の前の掴めそうもないベッドボードに必死にしがみついて、快感に耐えることだ。

「乳揺らして、エロいな、鏡の前で見せてやろうか」
「もぉぉ! む……り……ぃ……!」
「おいおい、俺は、まだ二回しかイってねぇのにこんなもんでトぶな、へばってんじゃねぇぞ」
「ひっ! あ、んぁぁ……っ……」
「寝るな、起きろ。オラッ まだ昼間だぞ」

 両手でがっちり腰を掴まれて、重力に従い下を向いたままの揺れる胸が寂しそうに揺れるから。
 忘れていないとむにゅうっと揉みながら掴んで揺さぶられて、服越しでは分からない柔らかな胸を両手でむにゅむにゅと柔らかさを楽しむようにリヴァイの手の中で形を変えていく。

「うあぁんっ、あっ! も、だめえっ、ふかいのまた、くるっ、あぁ、もうむりいっ、イくイく、ぅあ〜〜〜っ!!」

 海の剥き出しの背中を舌で舐め上げ、ゾワゾワと震える肢体を押さえつけながらリヴァイは器用にごちゅごちゅと子宮口を攻めてきたのだ。
彼から贈られる責め苦に抗うことなど出来ない。
 こうなるまで自分を抱き尽くしたのは紛れもなく目の前の彼だ。

「っん、んっん!!!  ゃ、ンあ〜〜〜ッッッ!!!」

 まるで彼のされるがまま。自分は操り人形のようだ。彼の自慰行為の道具のような扱いだと言うのに、それでも彼を受け入れて甘く果てて夢中に感じ入る海には彼から贈られる者は甘い刺激でしかない。

「くっ、……海……っ」
「んやっ、あ、イ、く……っ、また、ああっん」

 ガタガタ、ギシギシ。そんなに丈夫ではないベッドを激しく軋ませ、すっかり目の前の淫猥な彼女の姿に夢中になっていたから気付かなかった。
 リヴァイはふと、窓の外から感じた気配に気が付いて、一度律動を止めて。そっと目をやれば、そこに居たのは。

「あっ、リヴァイ……?」
「(何だ、エレン……お前か、)」

 荒く吐息を漏らしながら、普段の冷徹な表情は崩さずに上気した頬、汗ばむ肌、海の身体を上下に激しく揺さぶり二階の自分たちあまりにも淫猥なその光景にを外から見上げるように掃除用の箒を手に呆然と立ち尽くすエレンの姿を見つけたのだった。

「なんで、途中でっ……っ」
「何でもねぇ……あぁ、海……」
「ああ〜ッ!!」

 彼女の顎を掴んで、無理やり海の顔を自分に振り向かせて。
 五年越しに彼女を抱くのだ。全てを取り戻すにはどれだけ抱いても回数が足りない。
 リヴァイの熱のこもった普段とは違う眼差しが余すことなく自分に注がれていることにまた感じた海の膣口からまた愛液がじゅわりと溢れた気がした。ぎゅうううっと甘くリヴァイを締め付け海はまた仰け反った。

「ああ〜!!! やぁっ、も、無理、あっ、はっ、っは、〜〜〜! っや、やら……あっ、りば、い、っ気持ちいいよぉ、っ、へんになっちゃ…!」
「ん……っ、好きなだけ、なりゃいいだろ、」
「っひ!! あ〜っ!! きもち、きもちいよぉっ!! い、いくっ、またいっちゃ、やら、やらあっ、んあ〜〜っ……」

 リヴァイの鋭い眼差しがエレンを睨むように。リヴァイは見せつけるように寄り添の律動を激しいものにした、エレンから自分達が今何をしているのか見せつけるように彼女の奥まで自身をねじ込んだ。
 甘く仰け反りその拍子に海の控えめだが、締め付けている下着から開放された柔らかな胸がぶるん、と波打つように揺れ、それはきっと呆然と自分たちの行為を見上げるエレンにも見えたはず。
 二人きりの空間でまるで獣のように交わう自分たちを見つめて、どうすることも出来ずにいるまだ少年のエレンに見せつけた。

「(なぁ、エレン、見ろよ、お前の恋しい女のこんな姿を……見て何も思わねぇはずがねぇよなぁ? こいつをいつも妄想の中で、犯してんだろ、触りたいんだろ? 今すぐこの部屋に来て、そんで俺から今すぐ引き離して海を奪えるもんなら……俺から今すぐ奪ってみろよ)」
「んッ、んっ、んっ……あっ、んんっ、奥うっ、ゴリゴリつかないでぇえぇっ!!! ああっ、ああんっ、またきちゃう〜〜〜!!!」
「(エレン……なぁ、エレン、見ろよ、……俺たちの)っ――……いい、ぞ、出せよ……俺も、射精るっ

 薄い唇を開き海の咥内へ入り込んでは蹂躙し、片足を持ち上げて、ズブズブと根元まで挿れてより深く奥まで、腰を振りたくりその後、中でびゅるびゅると彼の熱いモノが吐き出されたと同時に海もイってしまうと、その締め付けが気持ちよかったようでまだ昂ぶりが収まっていないにも関わらずぐちゅぐちゅと精子を子宮口に押し付けるように腰を動かしてくる。
 耐えきれずシーツを掴んで、白く染まる指を絡めとり恋人繋ぎにして彼の重みのある肉体がまるで覆い被さるように。
 ちゅ、ちゅとおでこやこめかみや頬や、背中、そして唇を重ねると海はまた甘く達した。

「あッ!! んん〜〜〜ッッッ!!! っは…ぁう…ッんん…ッッッ」

 深くて長い絶頂を迎えると同時に、一度中に出された為に収まりきらないのか、許容範囲を超えた彼の子種が海の柔らかな尻のカーブを伝い、垂れて床に落ちた。

「あ……はっ、……んっ、」

 達した後も、絶えず律動を続けながら残りの精液を出し切ったリヴァイの萎えた自身がようやくズルンと抜け落ちた時、その感覚にさえ海は甘く感じて強く締め付けてしまった。

「は、」
「あ、どうしたの……」
「まだだ、」
「ひぁっ、ああっ、」
「まだ、っ、終わらせねぇよ……」
「いやあっ、待っ、も、無理、っ、あっ、頭、おかしく、なっちゃ……あうううう〜〜〜んっ!!!」
「いい、好きなだけぶっトんじまえよ。言ったろ、ようやくお前を本当に、手に入れたんだ……そう簡単に終われるなら……あの時、そもそもお前に手、出してねぇ……よ」

 エレンに見せつけるように彼女を抱いた、しかし、エレンは決してこの部屋に来ることは無く、いつまでもいつまでの、その場に立ち尽くしていた。
 まるで獣のような二人の情交は、刺激が強すぎるあまりエレンはその光景を見せつけられてまざまざと思い知らされる。
 彼の寵愛を受けた彼女は最初から自分等、眼中にはないのだと、自分は、単なる弟で庇護の対象なのだと。
 体位を変えて。リヴァイはわざとエレンに見せつけるようにもう骨抜きの海との獣のような情交を続けた。

「先に、俺たちから海を奪ったのは……あんたじゃないですか……リヴァイ兵長」

 幼少の憧れを抱いた女が自分より屈強な彼に汚されていく姿をまざまざと見せつけ、激しく獣のように背後から再び交わう海の痴態、そして逞しい肉体を持つリヴァイの筋肉を纏った屈強な肉体が躍動する。

――「エレン!!」
 記憶の中の、調査兵団のマントを纏い駆け寄ってくる無邪気な笑顔がどす黒い絵の具で塗りつぶされていく。
まざまざと二人の行為を見せつけられても、エレンは何も反応を示さない。まるで盛りのついた、獣の繁殖行為にしか見えなかった。
 リヴァイに軽々と抱き抱えられた海の繋がり合う結合部を見せつけられ、狭いシングルベッドで心ゆくまで、愛し合う2人の姿にただ胸を痛め、諦めたようにその場を立ち去るしか無かった。

「ああっ、あ〜〜っ、きもち、っ、んんっ、また、またイく!! んああっ、イッちゃう〜!!!あぁぁぁぁ!!!」

 エレンはもうそこには居ない。と、言うのに。リヴァイは古城で海がエレンに組み敷かれた話を聞いたあの日から猛烈にエレンに対して対抗心のような物を抱いていた。
 離れ離れの5年間、誰よりも海の傍に居たのはエレンだ。
 リヴァイはいつかエレンが海をどこかに連れ去る……そんな嫌な予感が脳裏から消えなかった。
 だからこそ見せしめに海は自分のモノだと、自分以外男を知らないと、普段物腰の柔らかで穏やかな彼女が悲鳴みたいな声で理性を無くして泣き叫ぶまでさんざん甘やかすように抱いた。

Fin.
2021.03.12
【パンドラの箱は閉じたままにして】

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