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【彼女の心臓を食べる】

※物騒なタイトルつけてますがカ〇バな話ではありません

 寝ようにもなかなか寝付けずに居た。エルヴィンへの報告にトロスト区へ向かったリヴァイが追っ手に捕まることなく無事にここに戻って来られるようにと、ただ、ひたすらに願い、リヴァイの帰りを待ちわびていた海。
 しかし、朝に向けて時計の針が傾けば傾くほど彼女には安らかな睡魔が迫っていた。確かに今日は疲れることが重なった。昨晩の自分はどうかしていたと自分でも思う程に彼に愛されたくて……彼も疲れているのに、そんな彼を誘って甘えるように抱いてほしいと懇願してしまったが、今思うと恥ずかしさで顔から火が出そうだ、どうにかなりそうだ。
 その夜の今日からのエレンの硬質化実験や、常に見えない敵から狙われているストレス、その疲労も重なり、肉体的にも精神的にも疲弊していた海はリヴァイの帰りを待たずに、そのまま食堂のテーブルに顔を突っ伏してすやすやと寝入ってしまった。
 とにかく疲れて仕方なかったのだ。結局昨晩も不安をかき消すようにリヴァイに心ゆくまで抱かれ、全身を揺さぶられ何度も何度も、屋外だと言うのに甘い声で彼の名を何度も呼び果ててしまった。
 今も全身がだるく、見えない疲労に支配されていたのだ。
 彼の帰りを確認するまではちゃんと起きていようと思っていたのに、睡魔には抗えない程に海は疲労困憊しており、そのまま深い眠りにまで落ちていた。
 それから数時間後、リヴァイがトロスト区から追手を付けられないように慎重に気を遣いながら山小屋に帰ってきた。

「チッ、何でこんなところで寝てやがる……」

 背後に気を配りながらの帰還は精神的にもリヴァイをますます疲れさせる。ただでさえ気が抜けない状態のままのリヴァイがドアを開けるなり視界に飛び込んで来たのはテーブルに突っ伏す海の姿だった。自分を待っていたのは言うまでもない。
 実験で汚れて入浴を済ませたのか、テーブルに顔を突っ伏して眠る海からは自分とは違う清潔な石鹸の香りがした。
 無言で、自分が切り落とし短くなった髪に触れる。海は小さな寝息を浮かべてすやすやと眠っていて。

「風邪ひくだろうが……自分の寝床でさっさと寝ろ、」

 そっと触れた柔らかな髪はさらりと揺れて、張りつめた心を解きほぐすように、リヴァイを癒した。

「ん……」
「おい、さっさと自分の足で歩けよ」
「……んん……」

 無理矢理立たせると、何でいきなり立たせるんだと不服そうにそのままふにゃりと崩れ落ちそうな、すっかり筋肉の落ちた柔らかな肢体をリヴァイはうんざりしながらも当たり前のように抱きかかえて向かった先は自分の部屋だった。
 公私混同はどうしたんだ。自ら課したはずなのに。しかし、5年間一人きりで眠れないほどに睡眠に全く興味を抱かなくなった彼に今の海は精神的にも肉体的にも休ませてくれる存在だったのだ。
 愛しくて手放せない存在を抱き締めて。リヴァイは鼻腔の奥の奥まで海の甘い香りを堪能した。自分だけしか知らない彼女の匂い。
 ペトラに毎回椅子で寝ないでくださいとよく言われたものだ。体痛くないんですか?それに、オルオが真似をするからと。
 懐かしい声が聞こえる。あいつらは、もうどこにも居ないのに。

「なぁ、海。起きろよ、寝たフリしてんじゃねぇぞ……。まだお前が足りねぇ。寝てるならこのまま寝込み襲ってもいいって、事で同意するぞ」

 リヴァイの問いかけに海は答えない。ただ、すやすやと深く寝入ってしまっており、閉ざした睫毛が影を作り、彼女の顔を際立たせる。
 いつもほんのり施している化粧も落とした素顔は何も答えないまま。エレン達が丁寧に掃除してある自室の清潔で簡素なベッドへその身をそっと、横たえ、切り落とした短くなってしまった柔らかな髪に触れて愛し気に口づけた。

「もうどうなっても知らねぇからな」

 無防備に寝ている彼女の寝顔にさえたちまち欲情する自分も相当疲れているんだと気付く。
 そして、気を張り詰めている自分もこの前のエレン奪還作戦からまだ日も経っていない中で既に疲れているからこそ、今すぐその柔らかな肌、甘い匂いに包まれて己の内側でじくじくと燻ぶっていた。

「ダセェ……」
 昨晩も、あんなにも彼女を求めて獣のように、ミカサが見ている前でお構いなしに情欲を発散したと言うのに、今も彼の中で燃えるような熱が溢れ、そしていつまでも持て余していた。

***

 長期間の書類整理によるデスクワークにより疲れが蓄積したリ、壁外調査で屋外での活動が続く中、巨人を始末した後はどうしても気が高ぶり眠れなくなる夜が自分になかったわけではない。
 そんなときは夜な夜なこうして眠る彼女を抱いて、時には彼女から求めてくれる夜もあった。しかし、それは長くは続かず、彼はこの五年間その欲望を誰かに、まして兵団内の人間に彼女の代わりを求める訳でもなく、一人その情欲を持て余してきた。
 そして、五年間と言う長い沈黙を経て再びつながった彼女との絆。そして、今自分達調査兵団が置かれている状況は決して明るいものではないからこそ、眠る彼女を見ているといつまた彼女の素肌に触れられるかわからない今だからこそ。
 再び下半身に熱がこもる。自らの欲望を現す愚息。欲とは無縁の日々の中、想像で幾度も抱いて貫いてきた彼女ではない生身の海がすやすやと眠っていて。
 そんな彼女の姿、自らの浅ましさに一人乾いた笑みさえ浮かべて、それでも彼女をどん欲に求めた。
 どん欲に、まるで発情期の獣のように。彼女を組み敷きそして小さくて細い彼女の肢体を抱いている間だけは、「人類最強」ではない自分で在る事が出来た。
 まるでこの胸に巣食う不安から解き放たれたように、武骨な手は今もその不安を昇華したがっていて。
 もう考えなくても本能の土壇場が教える。海がどこをどう触れればどう反応するか、どんな風に甘い声を出して、どんな風に、啼くのか。
 その全てを自分は知り尽くしている。当たり前だ、痛がる彼女を組み敷き、簡素な寝具にその肢体を押し付けてまだ成長途中のいたいけな誰のものでもない誇り高き分隊長だった彼女の純粋な身体を穢したのだ。

「てめぇは俺だけしか知らねぇままなんだよな、そう、信じていいんだよな。海」

 躊躇うことなく昨晩抱いた時と同じように。ひざ下までの清楚な白のワンピースの裾をたくし上げ、一気に首元まで押し上げると簡素な下着に包まれた海の普段自分だけが知るその柔らかさ、触れることを許される両胸がふるりと彼の眼前に現れる。

「海……」

 彼女に触れていいのは自分だけだと言う、暗い優越感がリヴァイを支配していた。服や下着越しでは無い、そんなもの、要らない。生身の彼女を際立たせる邪魔でしかない。
 今まで自分が生き抜く手段として、時には戯れに交わって来たどんな女よりも芳しく誘われる彼女の素肌を自分はもっと、見たい。
 とっくに酸いも甘いも通り越した。いい歳した三十路だと言うのに、抑えられない欲望は再び熱を持ち首をもたげて。
 純粋に思う。昨晩もあんなにも求めてくる彼女に誘われるがまま、料理する為の場所で、寝室にもいかず、立ったままの状態で抱いたのに。
 心ゆくまで子種を海の胎内に注ぎ込んで、甘い声で海もそれを甘んじて享受して。
 離れがたいと思えば思うほどその温もりに酔いしれ、抱き合えばそこは誰も知らない二人だけの楽園に変わっていた。
 自分が求めれば素直に応じていつも求められるがままに身体を開いて、心も身体も、素直で従順な海。
 昨晩抱いても、いや、きっとこの五年間彼女を思わない日はなくて、そして今こうして自分の腕の中に焦がれていた存在が安心しきって眠っているその寝顔さえ可愛いと思うし、守りたい、しかし、その反面今まで欲を散らしてきただけの女達にぶつけた劣情を海だけにはぶつけたくないと思うのに、止まらないのだ。

「海……時々……お前を壊してしまいたくなる」

 人は皆、生まれてから死ぬまで一人だ。分かっている。こうして抱き合い繋がりあっても結局心までは決してひとつになることはなくて。
 達して彼女の中に欲望をぶちまけても離れていく瞬間、彼女との間に伝う互いの混合液。それを押し込めても自分は彼女の中には入れない。
 彼女の中に納まる自分の場所はいずれ自分と彼女の間に宿る命になる。だけど一つになりたい衝動は自分でも止められなくて。

「海……愛してる……」

 海のいつまでもあどけない幼い少女みたいに無防備な寝顔さえ、今は愛おしいと純粋に、思うのだ。
 愛とは無縁の自分が他人へ愛を囁くなど、幼少の自分を育てた男は愛の何たるかなど、教えてくれはしなかった。
 教えてくれたのは、紛れもなく目の前の彼女だ。素直に口から零れた言葉は迷わず目の前の海へ注がれた。
 庇護欲と共にふつふつと湧き上がるのは果ての無い情欲。それでも足りないと自分の手はいつものように慣れた手つきで彼女に触れる。
 清潔なシーツの海の中、横たわる海の自分よりも小さな身体の上に体重をあまりかけないようにと乗っかると真上から見ろ推す彼は彼女を心も体も征服しようとする絶対的な支配者にも見えた。
 ねっとり、ため息すら漏れる様な声で。普段の彼しか知らない者達からすれば彼がこんな甘い声で、優しい口調で最愛の女を抱くなど、知らないだろう。
 リヴァイは何の迷いもなく彼女の両胸を包んでいる下着をグイッと鎖骨までたくし上げると、仰向けで流れた柔らかな脂肪を無遠慮に掴むと、その淡く色づいた先端へ指先を伸ばし、カリ、とひっかくように愛撫を始めれば、彼に再会してから幾度も抱かれ感度を増した海の身体は無意識にびくびくと反応して、そのまま導かれるように色づいた淡い先端に唇を当て、そして半開きの口から割り出した舌を伸ばせば突起はますます硬さを帯びていく。
 ああ、こうなってしまえば、もう止まらない。

「っ……ん、」
「海……起きたのか」
「っ、ふ、あっ、んっ、」
「エロい声出しやがって」

 ピクン、ピクン、と。それでも固く閉ざされた瞳が開くことは無い。震える海の肢体がシーツの波の上で跳ねたことで彼女は死んではいない、ちゃんと自分の腕の中で生きていると実感できた。
 そしてそんな眠る海に覆いかぶさる自分はまるで本能に突き動かされた獣だ。自らを獣と、浅ましくも恋しい女の素肌を前にして抑えきれないと、その唇は上へ上へと昇り、そして海の首筋へとそっと口づけ、甘く口づけそのままべろりと舐めあげ吸い付いた。

「あっ、うっ……んんっ」
「まだ寝てんのか、なぁ、海」
「は……あ、っ、」
「なぁ、起きてくれよ。こんな夜中に誰も来やしねぇだろ……いつもみてぇにお前の可愛い声、もっと聞かせてくれよ……」

 昨晩は愛し合い夢中で絡み合う自分達をミカサが呆然と見つめていた。しかし、彼女は実の姉のように慕う海の淫らに狂う姿を見ても決して顔色一つ変えないまま。黙り込んだままその光景を見つめていた。
 彼女の漆黒を閉じ込めたあの眼差しはどん欲に見つめ合う自分達をどう見ていたのだろう。
 人は愛し合いそして営まれていく命がある。これまでそうして人類は反映してきた。彼女の両親もそうして何世代にもわたる愛の営みの果てに彼女を産んだのだ。
 こうして求めあう事は何も恥ずかしくなどない。むしろ、世界中の誰しもに見せつける勢いでリヴァイは鼻息荒く海に覆いかぶさって動かない。
 首筋を舌先で辿りながら、リヴァイの手は無遠慮に海の剥き出しの胸を揉んで、その手のひらでやわやわと形を変えていた。
 普段彼女を抱くように。いつものように、変わらず慣れた手つきで攻め立てる。まるで別の生き物のように形を変える海の細いながらもちゃんと柔らかさがあるその両胸をリヴァイは心行くまで堪能し、うっとりため息すらつくように。耳元で吐息を吹きかけ、愛し気に口づけ余すことなく愛撫を繰り返した。
――「お前は、永遠に俺のモンだ」と。自分にも言い聞かせるように、抱いた。

「は、っ、んっ……」
「あぁ、柔らけぇな……海……」

 普段衣服ではわからない彼女の胸が柔らかい事。自分だけが知っていればいい。夢中になって揉みしだけばみるみるうちに彼女の両胸の淡い色の頂が濃く赤く色づいて、火照ってゆく。リヴァイの指越しに次第に硬さを帯びていくのがありありと手に取るようにわかる。

「寝てやがるのに……しっかり感じてんじゃねぇか、なぁ……海よ、もしこれが俺じゃなくて、他の男だったらどうすんだ?? 同じように乳首おったてて感じまくんのか?? 普段聞かせねぇ甘い声で、「もっと、」ってオネダリすんのか。なぁ、お前……そうすると、胸だけでお前すぐ濡れちまうから……そのままの勢いでココに他の男の租チンをハメられちまうんだぞ、海」
「っ……んっ、ふ、っ……あっ」
「あ?? 寝てんのに、しっかり感じてんじゃねぇか……」

 グリッと強めに起立した乳首ごと胸を包むように先端だけコリコリと抓るように揉み上げると、海は甘い声で身じろぎ、ぴくぴくと腰から下を跳ねさせた。
 自分だけしか知らない、彼女がこんな風に甘い声を上げて、敏感な身体はたやすく反応して、眉根を寄せて、頬がうっすら赤く染まる姿にリヴァイはニタリとほくそ笑む。
 無防備に眠る彼女の姿に興奮しているのか、やはり自分は彼女が心身を自らに捧げてまるで商売の女のよりも丁寧な手つきで奉仕してくれるが、彼女に主導権は絶対に渡さない。
 彼女が自分の足の間に顔を埋めて、猛ぶった自分を口やこの柔らかな胸の間で奉仕したとしても、それでも、尚も主導権は自分の中にあるのだ。
 どこか儚げな、しかし顔つきは幼い少女のままなのに、身体は紛れもなく生身の「女」これまで抱いてきたどの女よりも、彼女を前にすると抑えられない欲望にため息をつくばかりだ。

「ああ……もう、我慢できねぇ……挿入れちまうぞ」
「はっ、あ…うぅ…んっ」
「は、……あ……海……すげぇ、もう準備万端じゃねぇか……」

 離れていた五年間はあまりにも長すぎた。たった数回抱いただけではそう簡単には埋まりそうもない。もっと彼女を心行くまで抱きたい。
 叶うならば……今すぐ自分たちの障害となる敵を全部倒しつくして、誰にも邪魔されない二人だけの世界で彼女を囲って、今まで感じた事のない快楽で彼女を延々と責め立てて、その唇から漏れた甘い声をもっと聞かせて欲しい。
 そして、永遠に、彼女を自分だけのものにしたいと心からそう願う。やはり自分は根っからの暴力でしか生き抜く術を持たなかった男だ。
 そして、そんな彼女を泣かせるまでぐずぐずに溶かし、そして甘く責める方が性に合うのだと改めて思う。
 普段硬い理性で抑え込んでいる加虐的な思考が熱を持ち、じっとりと、彼の手はまだ兵団に復帰して日の浅い彼女の筋肉の落ちた白くて柔らかい海の太ももに躊躇わずに伸びる。
 まるで甘い蜜を求める浅ましい虫のように、強靭な理性は今は目の前の女が見せた無防備な中にどこか色香のある寝姿に本能に突き動かされ、疲れているからこそ海を抱きたいと強く願う。

「海……」

 今すぐ、抱きたい。たまらない。ゆっくりと海の両膝を抱えながら、そっと、普段閉ざされた彼女の秘密の部分を割り開いて早く既に硬く起立しつつある自身をねじ込んで、甘い悲鳴に変わるまで何度も何度も獣みたいに貫いて、そして一番奥の扉をこじ開けて子種を注ぎ込みたい。注ぎ込みすぎて逆流するほどに。

「海、……っ、」

 たくしあげたままの海のワンピースは首の上で止まったまま。
 そしてむき出しの両胸、くびれたウエストを辿り隠されていた下着の紐をそっと下へ下へと、辿るようにずり下げれば、普段隠されている秘められた女の部分が疲れたことで情欲を猛らせる自分には酷く官能的に見えて。
 そして、そっと両足首に手をかけて普段秘められた部分を開けばむわぁ……と甘い香りが漂い、クラクラと目眩さえ覚えた。

「本当に……出会った時はひらっぺたい色気もクソもありゃしねぇただのチビガキだったのに……」

 そんな彼女に快楽を植え付け、逃げられないようにありとあらゆる今までのただ重ねてきた経験値はすべてこの為だったとでも、言わんばかりに。
 彼女を快楽漬けにして抱き潰して離れられなくさせたのに、気付けば離れられなくなっていたのはむしろ自分の方、だった。
 普段のあどけなさや大人しい彼女の見せる快楽に狂う姿は自分の男をより引きずり出して、そして手招くのだ。
 もうどうなってもいい。海が起きようが起きまいが、見張り交代の際に報告に来るはずの誰かが今、この部屋に訪れようが、構わない。

 胸も下半身も丸出し、ほぼ裸同然の海に対しリヴァイは未だに一切服を脱いでいない。
 それどころか立体機動装置を隠す為の全身を覆うマントさえ外していない状況だ。自分の服を脱ぎ忘れる程夢中になるほど、どれだけ目の前の無防備な彼女から放たれるあえやかなる色気に充てられていたかを思い知らされた。
 自分より幾つも年下のこの少女のままの寝顔の海に。今も自分は焦がれている。いや、この先どんなことがあってもこの気持ちが揺らぐことは無い。
 例え、永遠の別離の道を歩むとしても――……。そっと身に纏っていたマントを外し、団服ではない薄手の逞しい身体に張り付いたインナーを次々脱ぎ捨て、血管の浮いた彼の細身だが、しっかりとバネの筋肉質な肉体が露になる。
 地下街に居た時よりも食生活も変わり鍛錬もありすっかり変化した肉体。この肉体がいつも海を狂わせている事も知らずに、
 自分の肉体、昨晩の余韻も残す海の下肢の間からはきっと昨晩自分の注いだ白濁が時間を経て逆流して膣口から溢れる頃だ。
 傍らのランプの明かりだけが頼りの中で、ほんのり浮かび上がる海の裸体は今まで見てきたどんな名画よりも美しく見えた。
 肌の白さが、より引き立つほの暗さの中で海の肌は官能的にリヴァイを誘惑していた。

「海……」

 まだ上半身、胸しか触っていないというのに。そっと開いた柔らかな太ももに沈む自分の指。女っ気もない日々鍛錬に明け暮れていた彼女の肉体は五年間戦場から離れたことで女性が持つ本来の肉体の柔らかさを取り戻していた。
 下肢の間を芳しくも熱を帯びた女の特有の匂いの中に確かに鼻をついた自分の昨晩吐き出し何度も注ぎ込んだ熱。
 しかし、彼女の中で混ざり合う彼女の愛液と自分の吐き出した青臭い体液すらリヴァイには興奮材料でしかないのだ。

「まだ胸しか触ってねぇのに……よく濡れてる……昨晩の余韻も……あぁ、残ってるな、」

 濡れそぼる海の秘部にリヴァイの長い指が挿入って、空気を含んだような捏ねるような水音をわざと立てて、膣の入り口へ突き立てた。

「っふ……ん、んん……っ、」

 グチュ……そのまま彼の指に粘つく愛液がまとわりついて、何度も何度も、ぐっちゅぐちゅと繰り返し律動を続ければ溢れた水音が確かに聞こえて。相変わらず敏感な海の身体にリヴァイはニヤリと口元を歪ませた。

「相変わらず、感度も悪くねぇ……」

 そうなるように仕込んだのは自分だと言うのに。何も知らないままだった無垢なその身体。素肌。心さえも、自分の思うがままに変えたのは――。
 彼女の純潔を突き破り痛がる彼女の膣口から流れた血で染まったあの日の夜。目の前の張本人はあの日の情景を重ね、間違いなく彼女の初めてを奪ったのは自分なのだと、ニヤリとほくそ笑んだ。

「海……」
「ん、んッ、」

 立体機動の邪魔にならない為でもあるが、いつも潔癖である彼の綺麗に研がれた爪は彼女の胎内を傷つけたりはしない。
 鋭利な指先が少しずつ確かめるように膣口に侵入してきたのだ。初めは入り込んで来た違和感が押し返そうと弾力のある筋肉、柔らかな肉壁が彼の指先の侵入を拒むが、幾度も何度も何度も柔らかな膣口を彼に貫かれた。

「は、グッズグズに濡れてるじゃねぇか……」

 グプッグプッ……と、何度も行き交う指先に愛液が纏わりついて粘度を増していく。と、身体はすぐに順応し、律動する度にトロトロと溢れ出た愛液を潤滑油に彼女から快楽を引き出そうとする。
 彼の指先には自分の吐き出した昨晩の残痕と海から分泌される愛液が伝う。

「海……っ、海……なぁ、起きろよ、なぁ……っ、」

 彼女の痴態に当てられ、もうはち切れんばかりに勃起した自身に苦笑する。相手は寝ているのに。寝込みを襲っている最低なこの状況下でも興奮しているのがわかる。

「ああ――……もう、無理だ、もう俺ので拡げていいか? ガンガン、突いて、啼かしてぇ……」

 猛った熱が痛い位に膨張して下着がはちきれんばかりに苦しい。早く、彼女のナカへ挿入したくてたまらなくなる。そして、リヴァイの指が海の狭い胎内を慣らすようにさらに増え、下肢を貫いたその瞬間。
 
「ん、んぁ、あっ、」

 海は疲れ果て彼の真下ですやすやと子供のようなあどけない寝顔で深く眠っているはずなのに。
地下で時には情報を得るため、時には自分の欲を散らすために、女を抱いてきた。
彼の意志とは関係なく身に着いたその手技によって女に作りかえられた海の純粋だった身体は彼から与えられた快楽を順応に拾い上げ、今はしとどに濡れてしまう程みだらに男の強靭な理性を狂わせる女へ。
ビクビクビクッと、腰を震わせながら大きく跳ね上がり、海は軽い絶頂を迎えてしまったようだった。

「は、ん……ん、」
「まさか、寝てんのに、イッちまったのか???」

 ずるん、と粘ついた愛液のまとわりついた指を引き抜き、リヴァイはお構い無しに何の躊躇いもなくそれを口に運び、舐め上げていた。
 若干自分の散らした欲の青臭い香りに顔をしかめるが、彼女の愛液なら決して汚いとは思わない。
 今もこうして彼女から迸る愛液ならば。むしろこのまま何度も彼女の体液なら塗れてきた。苦などない。

「お前……寝てるのにそういう才能もあったのか……なら、尚更、誰にも渡したくねぇな……お前は俺しか知らねぇまま、なんだよな」

 エルヴィンやクライスやミケやハンジですら、幼かった彼女を知る者たち、誰も知らない。海のこんなにも無防備で愚かで愛おしい姿。

「は、あっ、……海……」

 夢中でリヴァイは彼女の愛液を求めて下肢の間に当たり前のように顔を埋めていた。恋しい女の愛液は何故こんなにも夢中にさせるのか。彼女を自分だけのものだと実感しながら抱く暗い優越感に支配されながら、リヴァイは愛しげに海足首を掴むと、そのまま彼女の下に滑り込むように開脚して普段隠された自分しか見ることが許されていない秘密の場所をじっと見つめるとそのまま。

「ん、ああぁ……っ」

 海の下肢の間から指先にまとわりついたらまま溢れる愛液を思い切り吸ったのだ。
 愛を込めるように。乱暴ではなく、泣きたくなるくらいに丹念に、今まで欲のはけ口に抱いた女が嫉妬で狂う程の手つきで。
 潔癖な彼はどこへやら。恋しい女の蜜を求め、ねっとりとした舌を膣口に突き入れてヒダごとゆっくり筋肉で形成されている膣肉を広げていく。
 膨れた膣口の上の隠された突起を引きずり出すようにぢゅ〜〜〜っっっ!!と強く吸えば、海は深い眠りの中でビクンビクン、と身体を震わせてまた達してしまった。
 ヌルヌルと舌を這わせ、キュウキュウと伸縮する膣肉を指で押し広げ、割開かれた薄い唇から伸びた舌は入口を絶え間なく舐め続け、海は眠りの中で感じているのかだんだん鋭さを増していく。

「……はっ! んん、ん、っはぁ…あっ」
「海……は……うっ、むっ、」

――お前が好きだ。
 それは、嘘、偽りのない本心から漏れた言葉。リヴァイは無我夢中で既に無くなった理性の欠片の中海の下肢の間へ口付け、ワザと音を立てて辱めながら、その空いた手は海のたゆんと流れる柔らかな両胸を掬い持ち上げるようにゆさゆさと揺さぶりながら先端を掻くように刺激を与えればますます硬さを帯びて。
 海の甘く開かれた唇の柔らかさ、甘さ、まるで砂糖菓子のように。肌はしっとり汗ばみ、指先が吸い付くようだった。

「エロすぎんだよ……っとに、お前……」
「ん、んっ、」

 いつの間にか。半端に寛がせ、下着からすっかり雄々しく猛ぶった赤黒い自身がぶるんと姿を現し、それがぺチンと勢いよく彼女の足に当たった。
 すぐに雄々しく猛ぶった自身を取り出せば昨晩よりもビクビクと震えて先走りが滲んでいる。欲望に素直に反応する自分の分身に思わずほくそ笑み、自らの手で扱いてそれはますます肥大して腹まで反り返る。

「あぁ、海……これが、いつもお前のナカ犯してんだ……分かるか……。なぁ、寝てるお前にハメたくてたまらねぇ、って疼いてんだ」

 彼女の人形みたいに華奢な身体を横向きに軽々押し倒して。割り開いた柔らかな太ももに挟み込むようにその熱を押し当て、昨晩みたいに繋がっているわけでもない素股だと言うのに、太腿の間に挟んで先走りを纏わせぬちゅぬちゅと激しく擦れば、海の下肢の間を自身から溢れた先走りが汚した。

「は……あっ! ……ん、ン」

 下着から取り出した自身は痛い程に熱を持ち反り返っていた。亀頭が愛液を纏い、入口を左右に擦って侵入を試みる。
 しかし、まだだ。もう少しこの無防備な寝顔を見つめていたい。
 リヴァイは昨晩の暗闇に支配された調理場での淫らで背徳的な行為を思い出すように柔らかな海の太ももに自身を挟み、昨夜の余韻を思い出すように擦り付けた。

「あ、……っ、はっ、やべぇ……」

 決して挿入している訳では無いのに。自身から分泌される白濁を纏い何度も何度も擦ればぬちゃぬちゃと卑猥な音を奏でリヴァイは夢中で海の太ももに挟んだ自身を擦りながら吐息を漏らした。

「は……、あっ、海……っ、イク、イきそうだ……」

 ズッ、ズッ、ズッ、と室内に響くリヴァイの自身を擦り付ける音、ランプだけの頼りない灯り。ほの暗い明かりの下、照らされた海の横顔。流れる髪が頬にかかり、その姿がたまらなくリヴァイの情欲を煽る。
 その姿を焼き付けるうちにリヴァイの思考を焼き尽くすような快楽が襲う。導かれるまま、リヴァイは彼女の下肢の間へ余すことなくその欲望を吐き出したのだった。
 
「は、……っ、あ、っ……海、海……っ――!!」

 全力疾走したかのように。焼き切れてしまいそうな思考。
そのまま吐き出した熱を拭き取ることもしない今の彼に潔癖の高潔な姿はない。
海の足の間を汚したまま達した達した余韻に浸るリヴァイ。
 すると、どうしたことか。たった今欲望を吐き出したばかりなのに、すぐにまた熱を持ち反り返る自身が存在していた。

「は――、まさか、もう、かよ……」

 そして、眠る彼女を犯しているこの背徳的な状況に酷く興奮していることに気付いた。地下に居た下衆野郎とは違う、女を無遠慮に犯す趣味など無い、しかし、ならこの現象は何だと言うのだ。

「海……っ、お前、本当に」

 彼女が起きないのをいいことに、無言でリヴァイは海の身体をそのまま仰向けから四つん這いにひっくり返すと、今度は後ろから既に雄々しく勃ち上がる熱を臀部に宛がう。
 海はこの体位をあまり好まない、ちょうど右曲がりの自身は海の敏感な部分にあたるので、彼女はいつもこの体位だと背の割に重量のある自分に押さえつけられて逃げられない恐怖、感じすぎる恐怖に苛まれ、何時も「やめて」と、最後は子供みたいにグズグズに泣いてしまうのだ。

 そんな姿さえも自分の普段押し隠している情欲を煽ってくるのだから尚の事たちが悪い。グズグズな彼女に甘い言葉を散々囁けば海はますます淫らに狂うから。
本当は骨の髄まで優しくしたいのに、時に暴力的な一面が彼女をもっと骨の髄まで犯せと命じるのだ。まるで自分ではない誰かがこの身体を支配するかのように。

「っ、っ……ン、んんっ……」

 一気に宛がい、ズブブブブ……と包まれていく自身が我が物顔で侵入を果たした。肉食獣に攻められるのは変わらない。
 本当に、繁殖期を迎えた動物の交尾みたいだとリヴァイは嘲笑した。バチュンッ、と奥を突く度に子宮を突き抜けるほどの深い抽挿、海の身体は子宮の入り口の上のざらついた部分を刺激され悲鳴をあげていた。

「あっ、はっ、っ……海、っ、ああ、っ、たまんねぇ……っ」

 未だ寝たままの海をより一層深く犯す為に、リヴァイの猛ぶった屹立が出入りして、そしてびくびくと震えた瞬間、子宮に直接精子が注ぎ込まれたのだ。
――ぐぽっ、ぐぽっ!
 再奥を穿つ屹立からまた新たに溢れた先走りが海の胎内の滑りを良くして、そして。
 リヴァイが二度目の絶頂を迎える頃には彼の傘が愛液を掻き出しスムーズな挿入を可能にし、ますますその律動が激しさを増す。
 ギシギシギシ!!と激しくベッドが軋み、階下では思春期のまだ若い青少年たちがもしかしたらこの音で起きてしまい、妄想を繰り広げて聞き耳を立てているかもしれないと言うのに。
 しかし、リヴァイはお構いなしに海の中に白濁した欲望を注ぐべくより一層律動を激しいものに変え、一度ズルルルル……と猛る自身を海の膣口から引き抜き、その熱が勢いよく放出された。
 その刺激ですら絶頂し、海はぐっすり眠っているのに膣は休む暇なく痙攣を続けてリヴァイを締め付けた――。

***

「リヴァイ兵長、起きてますか? 異常なしでした、それで、今コニーとミカサに見張りを交代しました」

――「ハァ、……ッ、あ、ッ、海……っ、あ、っ……!!」

「リヴァイ兵長?? 大丈夫ですか??」

――ああ、何だよ、誰だよ、うるせぇな……今いい所なんだよ。邪魔すんじゃねぇよ。

「リヴァイ兵長?」

 それでも無意識に海は寝入ったまま彼から与えられる快楽を拾う。
全裸にされ、あられもない格好でシーツに身を横たえて。
うつ伏せにしたまま繋がった部分を丸出しにして、海の括れた真っ白な腰を屈強な手が掴んで痕が残るくらいに。無我夢中で大の大人がのしかかって腰を振ったくっている。
 まるで背後から獣の情交のように。何度も、何度も、繰り返し互いの愛液が泡立つほどに激しく突っ込んでいるのに。海はそれでも起きないのか寝たふりをしているのか、仰け反りながらも瞼を震わせ、時折艶やかな吐息を漏らして感じているようだった。

 彼女が熟睡して上手く膣口に挿入らないためにリヴァイ自ら彼女の尻を押さえて、赤黒くてグロテスクな血管の浮いた屹立をずりゅずりゅ〜〜ッ!!……と音を立てて膣口へとまた突き立てた。
無意識に逃げるように腰を引いた海のナカに逃がさないと言わんばかりに一気にくぷっ!!!と、一気に自身を海の胎内の奥深く、子宮口の閉ざされている入口をこじ開ける勢いで突っ込んだ。
 扉の向こうで一向に上官からの返事がないリヴァイに違和感を抱いたジャンがノック音と共に何度も声をかけて来るが、リヴァイは完全に無視を決め込み欲に任せてぐぷぷぷぷッ!!!と熱い屹立を挿入しては海の最奥を突き上げ、獣のように背後から突き上げられた海の小さな身体はシーツの上で何度も、何度も、大きくバウンドした。

「んんっ、」
「ッふ、……はァ…ッン、う海、ぅ……ああ、お前の奥にまで届いちまっな……」

 海の普段閉ざされた子宮の入り口までこじ開けるようずっぽりと埋められた自身が失う温もりを手放さないように。リヴァイは眠る彼女を抱いた。
 時間からすれば僅かだが、ジャンは未だに動けずにいた。ジャンの自分を呼ぶ気遣うような声が聞こえる。早く、この行為を中断して急いで彼女を隠して部屋を出なければ……この部屋には鍵は備え付けられていない。
 最愛の少女をうつ伏せにし、無我夢中で肌と肌のぶつかる音を響かせ、安っぽい座質のベッドを軋ませて、海を貫いた。
 ジャンのノックの音が聞こえなくなるまで激しく彼女を抱き潰し、そしてシーツが二人の体液でべっとり濡れてしまうまで。
 リヴァイは海を夢中で抱き続けるのだった。

***

「あ、リヴァイ兵長!! すみません、寝てましたか」
「いや、なんでもねぇ……」

 ジャンがいつまでも出てこないリヴァイに心配してドアを開けようか、開けまいか。休むにも休めず暫く部屋の前で悩んでいた頃、ようやく閉ざされたリヴァイの部屋の扉が開かれた。
 しかし、姿を見せたリヴァイは普段の青白い顔が今は上気し、まるで長風呂に浸かっていたようにさえ感じられるほどに瞳の端々も赤く潤んでおり、いつもきちんとした身なりの服装もシワがついて乱れているようだった。

「り、ヴァイ、兵長……? その、顔が赤い気がしますが。まさか、熱でもあるんじゃ……」
「なんでもねぇよ、悪かったな。待たせた。お前も返事がないなら律儀に俺が出てくるまで待ってなくていいからさっさと休め。ガキは寝る時間だろうが」
「ハイ、すみません……(いや、最初に見張り交代する際は異常なかったか異常無くても報告しろってあんたが言ったんじゃないか……それにしても、一体何をしてたんだこの人は……)」

 訝し気に元々目つきの悪い彼の顔が歪んだ。見つめる先、ジャンは次の瞬間、息を飲み言葉を失った。
 思わず肩にかけていた未だに慣れない散弾銃を落としかけ、その場を動けずに。
リヴァイは彼に背中を向けたまま扉をそっと開けながら、静かに彼に呟く。

「ジャン、」
「はい……」

 自分は、見てしまったのだ。見てはいけないものを。上官のひとりの部屋の存在しない者を。

「この事はくれぐれも、他言無用だ」
「っ……!!!」

 ジャンはドアの隙間からほんの少しだけ見えた光景に、さっきまで何が行われていて、そして、なぜ今の今まで出てこなかったのか。そしてなぜ目の前のいつも顔色の悪い青白い顔の男が今上記した頬を赤く染めているのか。
 全てを知ってしまった。漂う馨しい香りと共に、彼の部屋に鎮座するベッドの上。ふわりと掛けられた掛布に違和感のあるこんもりした膨らみ。
 そこから覗き見えたのは、シーツに乱雑に散らばった見慣れた女の明るい色素の髪。普段隠されている対Gベルトの跡のついた真っ白な脚。
 それが折り重なって、リヴァイが普段寝起きしている布団からはみ出していたのだ。彼女が人知れずに女子部屋を抜け出して一体何をしていたのか、どうして彼のベッドに彼女が眠っているのか。
 そんなこと、思春期の多感な青少年なら考えなくても分かる。先程まで行われていた愛し合う2人の交歓の名残をまざまざと見せつけられた気がして、ジャンの頭の中をよろしくはない妄想が駆け巡った。
 明日から、どんな顔で上官二人を見ればいいと言うのだ。

「しっ、失礼しました」

 ジャンはよからぬ妄想に思考を埋め尽くされた、そして先ほど微かに聞こえた寝具が軋む音はつまり、そう言う意味だったのだと、妄想だけが独り歩きする難しい年ごろの彼は頭を下げ、そそくさと逃げるように階下へ戻るしかなかった。
 慌てたジャンが階下へ去った後、再度また扉を閉めて、リヴァイは眠る彼女を隠していたが、隠しきれていない掛布を取り去り、そして露わになる一糸まとわぬ姿で眠る彼女との愛し合った空間の乱れたシーツは互いの体液で濡れて、彼女の足の間からはドロドロにまみれた互いの混合液が伝う。それをグイッと指先で拭い、その中心で眠る裸の彼女に耳元で囁いた。

――「ジャンに聞かれた。知ればお前は怒るかもしれねぇが、お前を見ると自分で自分を抑えられねぇみっともないクソ野郎になり下がっちまう。一体、どうしちまったんだ俺は……だから、責任取れよ、年下の女にみっともなく欲に集る最低な男にした責任は重いからな」

 自分はようやく手に入れたのだ、あの薄汚い地下で彼女と言うひと時の楽園を、二度と手放すもんかと、彼女は永遠に自分のものだと。
 日夜巨人との戦いに明けくれ、それが自分の存在証明だった、恋愛も男女の色ごととも無縁の彼女を快楽の檻の中に閉じ込めて離れられなくさせたのだ。
 至極満足そうに彼女の隣に身を横たえ頬、額、そして最後のキスは瞳へ落とすと、満足したように彼も束の間の休息を取ろうと、瞳を閉じた。

「俺がもし巨人だったら真っ先にお前を喰って、そんで俺の腹の中で大事にしてやるのにな……」

 言葉が拙いから、言葉の代わりに本能で求めあう自分達はまるで動物だ。だが、それでいい、この空間には本能しか存在しないのだ。

Fin.
2021.02.15
【彼女の心臓を食べる】

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