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「13th.secret Dearest-HEROIN-」


ダンピールや…アルベルさんと繰り広げた死闘の事も、朝方になりなかなか寝付けない私にラルヴは遠慮がちに静かに話してくれた。
ダンピールのその外見は私たちと全く変わらない、でも、やはり端麗で綺麗な蒼白の彫刻の様な顔立ち。
私達よりも遙かに丈夫な吸血鬼を狩る特有の武器で殺せる力を持っていて、吸血鬼の匂いを嗅ぎ分け探知する事が出来る為にハンターとして活躍する人が多い。もちろん人間でも狩人は出来る、でも、ダンピールには適わない、

そして根付くのは、肌身離さずロケットに隠した父親の笑顔が写る写真だった。
私も彼に、彼だけにこの秘密を打ち明けていた。
アルベルさんに伝えたかった事。
私はこの屋敷の本当の令嬢ではない。
私の実の父親は優秀な吸血鬼狩人だった。
でも、お父さんは…殺された。
犯人は分からない、ただ、唯一分かるのは首筋のあの生々しい双牙の痕跡。

そして天涯孤独の身になった私は人身売買でこの屋敷の亡くなってしまった令嬢に似ていると言う私の意志を無視した勝手な都合で私は売られてこの牢獄の様な無駄に広い屋敷へ閉じこめられまるで自由のない鳥の様に生きてきた。

もちろん許された自由なんてない、義父は滅多に帰ってこないし監視は常に、友達もラルヴだけ、息の詰まる繰り返しの生活にこのままではいつか、知らない相手と無理矢理結婚させられてしまう…

そんな人生なんて耐えられない、私は初めて外の世界へ家出をしようと飛び出した。
それが過ちだったなんて…そして、森に迷い込んだ私を襲ってきたのはモンスターや獣ではなく、醜い吸血鬼ハンター達だった。
もうおしまいだ、身ぐるみ剥がされてしまうのか、そんな矢先の出来事が先程の夢みたいな映画の様なワンシーン。助けてくれたのは…。

私は気付いたら静かに眠りに堕ちていた。
そんな深い眠りの中、記憶の片隅に無くした記憶の断片。
星々が照らす森の中で生まれて初めて出会った伝説上や物語の中だけだと信じていた吸血鬼は誰よりも傲慢で、無愛想で口が悪くて強引な人…それでも

あの赤い鋭い瞳、私の頭三個分はあるだろう大きくてスラリと引き締まった身体、男の人なのに…妖艶なワイルドでセクシーなその雰囲気、例えそれが人間を惑わす為に備えられた吸血鬼の武器だとしても。

心が痛い程に叫ぶ、

貴方に会いたい、

抱き締めて欲しい…

触れて欲しい…

過去の残像がちらつく朝方、私が眠りについた同時刻、貴方も私と同じタイミングで眠っていたなんて…知らなかった。

微かに見た夢の中、
貴方に優しく寄り添う、そんな夢を見た。

貴方は困ったような驚いたようなしかめ面で私を抱き締めてくれて…

それだけで、幸せだった。
そして、もっと…欲しくなってキリがないって分かっているのに…

貴方に焦がれてしまった…





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