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「9th.secret Dearest-ALBEL-」


この許されはしない…人間と吸血鬼という越えては成らない壁を乗り越えた逢瀬を俺は悔やみはしない、忘れたくねぇ…その笑み。
今もお前の笑顔と泣き顔が浮いては沈み何度もフラッシュバックしやがる。
両腕を鎖に繋がれここぞと言わんばかり今までの若僧の俺に対する当てつけにも似たクソ虫共の尋問にすっかり精根尽きちまった…

俺は、果たして今どんな顔をしているんだかな…
彼奴が見たら泣いちまう、だろうか。
こんな俺にあんな綺麗な涙、笑っちまう、阿呆、泣いてんじゃねぇよただ、見失い、傷を抱き締め欲しかった愛される喜びをいざ目の当たりにして嬉しくて胸が苦しいだけだ。

この恋に焦がれたお前を想うだけで…
血の涙を、流す。

俺は欲望に駆られお前を求めた挙げ句の果てに尋問に掛けられた阿呆な吸血鬼か?
俺は、いずれ憎しみの炎に焼き尽くされる末路の情けない吸血鬼か?
まだ、俺には名ばかりの吸血鬼の理性が存在していたらしい…本能の儘に戦いを追い求めていたあの頃の俺が見たらこんな情けねぇ姿、蹴飛ばされるだけじゃすまねぇだろうな。

月明かりすら奪われ…
お前と見上げたあの星すら見えねぇ本拠地である地下の尋問室。
微かに確かに感じたのは…未だ残るウミの甘い、香り。
甘味成る蜜に口唇を寄せて、

夢の中、唯一…今俺がお前にしてやれる最後の…手段。

もう一度、許されるならば…お前をメチャクチャに抱き締めて壊さねぇように。

この醜い俺を縛る罪の象徴だった左腕すら愛してくれたお前を。





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