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「10th.secret Dearest-ALBEL-」


「ぐぁぁー!!!」
「ひいいっ!ど、どうかお許し下さい!『漆黒』団長様!!」

朝日が昇るギリギリの時刻。
俺は刀を手に先程とは一転しウミを襲い集団で欲に群がるハンター共を逆にハンティングしその鮮血を随々と迄味わっていた。
俺は最低だ…、吟味したウミの血の濃厚な甘さに酔いしれ、ウミの項ばかり見つめていたその衝動を抑えるために人間を、しかも弱者でしかないクソ虫のクソ不味い血を味わっている。

名も無き怒りが俺の腐った本性を暴き出す。
此の腹の底から込み上がる怒りは何だ?
ウミを、思えばやはりこいつらを逃したことを悔やみ、そして今に至る。

彼女の為なら俺は歪みのアルベルに成ろうが構いやしねぇ。
夜が明ける、早く済ませねぇと。

アイツは…ウミは俺の獲物だ、

ウミを泣かせる奴は…

肝に銘じておけ

「クソ虫共。よく聞け」

お前の笑みは俺だけに見せてくれると信じている阿呆でも、俺に縋りゃいい
―…

「ウミに手を出した奴はどんな奴だろうが許さねぇ。

身を持ってワビろ、あの世でな」

ハンター共の断末魔の叫びを最後に。
俺は刃を振り下ろし右の鉤爪で切り裂き血飛沫で狂った様に餓えを満たした。

例え僅かでもあの血を口にすれば俺はすべてを吸い尽くすまで満たされなくなる。

吸血鬼ほどおぞましい生き物は無い、貪欲で卑しく相手の血を随随とまで啜り尽くす悲しき魔物。

「…チィッ、どいつもコイツの血も不味い、不味過ぎンだよ、阿呆が。」

誰が俺の欲求を満たす、
次から次へと溢れて止まらねぇって言うのに…
血塗れの口をそのまま黒衣で拭い立ち上がる。

空を見上げれば凍えそうな空、忘れもしねぇ、無鉄砲だった15歳だったあの時の俺。
親父が死んだあの日と同じ新雪が降る…

あの日を境に無くした筈の温もり、優しさ。
求めちゃいけねぇ、なのに、

「チッ、阿呆」

その日は夜明けと共に直ぐに眠りに堕ちることが出来た。
珍しい、久々に雑魚のクソ虫共の狩りも楽しめたし疲れた。

つなぎ止めちゃならねぇ温もりが今は、


何よりも恋しかった。





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