「今日はうちで食べてきなさい」


家まであと数歩というところで買い物帰りの精市のお母さんと会った。
おかえり、こんにちは、と言う会話から何故か最初の会話になった。

「あの…」
「最近ずっと一人なんでしょ?あの人そうゆうとこ適当なんだから。ね、食べてきなさい。おばさんの話し相手になるとでも思って!!」

そのまま押され私は精市の家に足を入れたのだった。
















「なまえちゃんがうちに来るのも久しぶりね」
「そういえば、そうですね」


夕食の手伝いをしながらおばさんと会話をする。
久しぶりに会ったおばさんだったが以前と変わらず優しい口調。
精市にどことなく似ていて美人さんだ。


「精市と仲良くしてる?」
「あ、…はい」

違う、私から避けてるんです。

「中学の頃はずっと同じクラスだったのにね」
「はい、残念です」

嘘、正直とても喜びました。

「これからも仲良くしてあげてね」

出来るわけない。



「野菜、洗い終えましたよ」
「あら、ありがとうね。そこ置いといてくれる?やっぱり誰かが手伝ってくれると早いわね」
「…精市は手伝わないんですか?」
「あの子高校入ってから帰りが遅いのよ。まさか彼女でも出来たのかしらね、フフッ」


おばさんは口に手を当てて笑う。

そのまさかですよ。
笑った顔がとっても可愛くて、気の利く優しい女の子です。
精市ととってもお似合いなんです。

「…精市はそうゆう話しないんですか?」
「必要以上の事は笑って済まされるの。高校生にもなると当たり前なのかしら?」


いくら好きって呟いてもこの気持ちが届くことなんてない。


「よし、これでいいかしら。ありがとう、手伝ってくれて。精市ももうすぐ帰ってくる時間だわ」


今まで通りでいいんだ。


「ただいま、」


そうしたら普通に話せる。


「あ、帰ってきたわ」



きっと大丈夫。


ドアのぶが動きドアが開いた。
青い髪が見える。






「……おかえり」




「英語の教科書持ってない?!」
私が慌ててそう聞くと精市は馬鹿、といいながらも教科書を貸してくれた。
ありがとう、と言うと笑ってくれる精市が大好きだった。
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