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それが例え敵だとしても…〜柳SIDE〜


「―――!」
「―――。」
「転校なんてしたくないっ!」



隣の家、なまえの家から聞こえてきた声。

転校。



俺は読んでいた本を閉じ、靴を履き玄関を出た。
あいつは何かあるとすぐに家を飛び出すからな。
自分の部屋にこもるという概念はないらしい。


玄関の外に出るとやはり隣の家の門の外で今にも泣き出しそうな顔をしているなまえがいた。


「……なまえ。」


俺がそう呼ぶとその顔をこっちに向ける。



「…聞こえてた?」
「……あぁ。」
「…転校…したくないよっ……。」


そう言うなり大きな目から大粒の涙を零した。


今までマネとして頑張ってきた分、立海テニス部のみんなと全国へ行きたかったという気持ちが強いのだろう。


それは俺達にも言える。


なまえほど俺達のことを分かっててしっかり仕事もこなすマネはなまえ以外いない。

部員が聞いたらどうなるのだろう。

マネを辞めるだけならともかく、もう簡単には会えなくなるのだ。

あいつらは軽くなまえに依存してるからな……。

しかし転校という問題は避けられない。


「…どこに行くんだ?」
「………大阪…。」


大阪。
なら、


「大阪なら四天宝寺に行くといい。」



お前が四天宝寺に行ってマネをやるなら近いうちに全国大会で会えるだろう。
それなら部員も我慢するか…。

それが例え、敵だとしても。

俺はなまえを家に帰しケータイの電話帳を開いた。



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「それは本当かい……?」




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