幸村君の彼女8
「れーんじくーん。せーいちくんがー、気持ち悪いでーす」
「……それを俺に言ってどうするんだ」
「コートの隅にどけて」
「断じて断る」
「聞きましたか、仁王君。幸村君が気持ち悪いですって」
「俺は知らん。知らんからなっ!!!」
「……敵……潰す……さぁ、どの五感から奪ってやろうか……やっぱり目かな……」
静まり返るレギュラー一同。
今回ばかりは真田も空気を呼んでいるようだ。
バッ
幸村は急に立ち上がった。
その行動に猫背の仁王までもが背を伸ばす。
「あーかやっ!!」
「はっ、はいっ!!」
「試合しようか!!」
「え、今は……」
「拒否権なんてあると思ってるの??」
「ジャッカル、あたし赤也に可哀相なことしたかな?」
「……何したんだよ」
「赤也は可愛い可愛い従姉弟って言った」
「…嘘なのか?」
「うん」
「何とも言えねぇ」
「だって、いじりたくなって」
「お前、従姉弟をすごく可愛がってるらしいからな」
「うん、めっちゃ可愛いよ。写メ見る?ほら」
ケータイの画面をこちらに向けた彼女。
「いや、見せてなんて言ってねぇけど…―――
エェェェェェェ!!!!こいつかよっ!?」
『フフッ☆』
「ちょ、部長っ!やめて、やめて、!」「ほらっ、テニスを楽しもうよ。えいっ☆」「ギャアアアアアアア(泣)」 [幸村君の彼女8]