もしも雨が止んだなら… | ナノ
9話

「合宿の事だけど…質問はないね?」

「なんだよ、なまえも行くのかよ。」
「そんなこと言っちゃだめですよ、ブン太先輩」
「虐められてるのは麻原なのによくそんなこと言えるな」
「ジャッカル先輩も…。いつか、なまえ先輩だってわかってくれますから」
「ま、仕事しないんだし、先輩は行っても行かなくてもいーんじゃないッスか?」


部室でのミーティング。
私はみんなから離れたところで精市の話を聞く。
近くに行くなんて許されない。


合宿か………。
怖い……

きっと私は立海だけじゃなくて他校にもきっと嫌われるだろう。
苺加ちゃんの「さようなら」の意味は決して浅くはなかった。
私は私を保っていられるかな……?




「なまえ」
「あぁ……ごめん、何?」
「ミーティング終わったけど……どうかした?」
「あ、ううん。何にもない」



その場から動き出そうとすると、精市が私の腕を掴む。
その場所は今日踏まれた場所。
さっき見たら痣ができていた。
でも、もうどれがいつの痣かわからないくらいだけど。



「……何?」
「なんでこんな暑いのに長袖着てるの?」
「……日焼け対策。」
「ふざけるな。」


そう言って精市は私の袖をめくった。
めくって見える腕に浮かぶ痣や傷。
自分で見ていても痛々しいと思う。



「…なんで俺は…大切な人一人守れないんだろう……」
「…精市……」
「なまえのこと……よく知ってるのに………」

「…精市には助けてもらってるよ。たくさん」


精市は涙を流す。
あぁ、
私は涙が1粒しか出ないのに、
私の代わりに泣いてくれてるの?
私は少し背伸びして、精市の唇に自分の唇をあてた。


「…ありがとう。」


すると精市は抱きしめてくれた。
私の横で精市は私のために泣いてくれてる。
まだ、私のことを思ってくれる人がいる。




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