もしも雨が止んだなら… | ナノ
10話

いつもより更に早い時間。
電車は1番早い電車に乗ってきた。
もちろん私が1番に学校に着いた。
まだ、集合時間より大分早いはず。
みんなが来る前に荷物を出しておこう。
そう思い部室へ向かおうとすると前方に映る人影。



「苺加ちゃん………」
「わぁ、ありがとうございます。
荷物、用意しようとしてくれてたんですか?あたしの負担が軽くなりますね。」



苺加ちゃんはかわいらしい笑みを浮かべる。
何も知らない人がみたら必ず苺加ちゃんのことを疑わないであろう笑みを。



「合宿、行くんですか?」
「……行かなきゃ。マネージャーだから」
「誰も先輩のこと必要としてないのに?」



苺加ちゃんは口角を下げ目を細める。



「あたしは幸村先輩が欲しいんです」
「…………精市を?」
「はい、あたし幸村先輩が好きなんです。なのに……幸村先輩はあんたなんかと付き合ってる」
「………」
「早く幸村先輩にも嫌われればいいのに…、どうすれば嫌ってくれるんだろ?」


「……っ…」
「まあそのうちフラれるでしょうけど。あたしが彼氏だったら後輩をいじめる彼女なんて嫌ですもん」


確かにそうだ。
あたしでも、嫌だと思う。

けど…
精市は…


「楽しみですね、合宿」


そう言って私を通りすぎる苺加ちゃん。



精市があたしを裏切る………
絶対精市は私を裏切らない、



そう言えないのは私の弱さ。


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