もしも雨が止んだなら… | ナノ
8話


クラスでも孤立した。
クラスにテニス部はいないのにどこからこんな噂が流れたんだろう?

「あの人気に入らない後輩を殴ったりして、虐めたらしい。」
「嘘ー、めっちゃ優しかったじゃーん」
「表の顔と裏の顔みたいな」
「あ、二重人格?」




クラスに響く罵声。
私に聞こえないように言えばいいのに、
違う、私に聞こえるようにわざと話してるんだ。
なんでこんな事になったんだろう。


「ってか幸村君もこんなのに騙されてたまだ付き合ってるとか可哀相」


1番辛いのは精市の名前を出されること。

落書きまみれの教科書。
こんなのまだ平気だ。


「……っ……」


机の中にはカッター。
私の血が滴る。
クスクスと笑うクラスメート。


少し前を思い出す。

「少しテニスができるからって調子のってんじゃないわよ。」
「友達だと思ってたのに…酷いっ………」
「こないだの大会、どうせ先生に媚売ったんでしょ?」





もう、笑うことしかできない。
何度抜け出しても結局はまたはまる。
そうゆう連鎖の繰り返し。
決まった人間が、嵌っては抜け、嵌っては抜け。

あの頃ぐらいからだな……。
私が完成したのは。


知らない人に蹴られたり、殴られたりする日々。
私があんた達に何をした?
ただ、私が頑張っただけじゃない。



今回だってそう。



ただ好きなものの近くにいただけ。
私は勘違いされてるだけ。

校舎裏に呼び出されるのは何回目だろう?
呼び出される度にいつも殴られて、蹴られて。
その人達が去っていった後もなかなか立ち上がれなくて。
1粒しかでない涙流して。



「ほんと何がしたいんだかっ……、」



めまいがしながらも立ち上がり、部活へ向かう。
暴力をふるわれても結局あたしがテニス部へ行くのは、
まだ、あたしの事を信じてくれるかもしれない、なんて期待があるからだ。


そんな期待、
すぐに打ち砕かれるのに。






「仕事してないと聞きましたが」
「麻原にやらせてるのかよ」


蹴られて、タオル干して
殴られて、ドリンク作って



仕事してない?
みんなどこを見てるの?



ほら、
希望の光も見えないでしょ?


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