もらい脱ぎ


修羅場2日目。人によっては部屋の片隅で倒れていたりする。隣に座っているヴィゴさんからはしきりに舌打ちが聞こえてくる。多分計算ミスでもしたんだ。

正面の先輩はさっきから鼻息が荒いし、普段賑やかな斜め前の先輩は数時間前から一切声を聞いていない。大丈夫だろうか。

私はといえば、自分の額から滑り落ちた汗で紙のインクが滲み、いらいら全開の顔だと思う。

暑い眠い終わらない。
意識が朦朧としてきた。今日は夕立が降り、非常にむしむししていて不快指数マックスだ。

もうダメ。中庭の池にダイブしたい。そんなことを、水産加工品第二種税収表を計算しながら考えていた時だった。

「うぉぉーおぉー!」

正面の鼻息が荒かった先輩がつい壊れた。

「うぇっ!?」

突然のことに私の肩は跳ね、身体がのけぞった。

「だ、大丈夫ですか?先輩」

恐る恐る問うと、先輩はがっと立ち上がり突如脱ぎ出した。

「えっえっ!!」

なんで脱ぐ!いや、暑いからか。

そんなことを考えていたら静かにしていた斜め前の先輩も咆哮をあげ、脱ぎ出した。何、このもらい脱ぎ!

てか、男性は脱げていいな。私もちょっとくらいならいいかな。


自分の官服を見下ろし、どこまでなら脱げるか考えてみた。
ブラウス脱がなきゃいいかな。

「うるさいですよ、そこ!ヴィゴ、捨ててきなさい!あと、シノ、脱いでみなさい。女性だろうが気にせず池にぶちこみますよ。」
「ひぃ、すみません」

なぜ分かる!

修羅場中の財務官の世間体を守っているのはジャーファル様だろう。

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