バ可愛い人ばかり?1




「隣、だな」



寮に連れて行ってもらった。



あとは自分で行きます、って言ってるのに会長がしつこくついてくるから部屋に逃げ込もうとした時に聞こえた言葉。



『え』



「俺、307号室。よろしくな妃代」



よろしくされたくないし。
未来くんもだけど名前で呼んでいいなんて言ってないし。



助けていただいたのは感謝してますけどね!
それとこれは別。



無言で部屋に入ってやった。



こうなったらみんなが嫌だって思うほど嫌わればいいんだそうだ。



ガチャリと鍵を閉めて部屋を見渡す。



あ、お風呂ついてる。



大浴場とかで共同、なわけないか私1人しか女子いないのに。



ちゃんと荷物片付けられてる。



1日で……しかも私が学校行ってる間に全て終わってるなんてミラクルだよ。



冷蔵庫を開いてみると何もない。
何もない、だと。
いやうん、当たり前だよね。



簡易キッチン付いてるし、夕飯は自分で作ろう。



買い物行こうっと……



適当に服を選んで、着替えて部屋を出た。

ドアを開いた瞬間に誰かに抱きつかれる。



『わぁっ!?』



「はいはい捕獲ー」



後ろから聞こえる声の主は……会長。



私と同じく私服に着替えている。



あらカッコイイ。



かっこいい人は何着ても似合うよねー。



見てる分にはいいんだよね、イケメンだし。



『離してくれませんか?』

「そしたら脱走するだろ。だから無理だな」



離そうとしない会長は後ろから抱きついたまま私の顔を覗き込んで笑う。



「買い物行くんだろ?来たばっかで食いもんとか何もないもんな?」

『わかってるなら離してください』

「ついていく」



……はぁ?



『こないでくだ……』
「寮から出れるかなー?ここに住んでる奴ら、女に飢えてる奴結構いるからなー。見つかったらたぶん速攻で部屋に連れ込まれるなー。いや、信じないなら1人で行っても別に構わないけどな」



ニヤニヤと笑う会長。



抱きついていた手がパッと離れる。



時々感じる視線からして嘘ではなさそうだ。

そんなことで身に危険を晒したくない。



「来んなっていうなら俺部屋に戻るかな!じゃーな」



ドアを開けようとする会長の服を思い切り掴んだ。



『つ……ついてきて、下さい』



会長が笑うからなんだか負けた気分になる。



「かしこまりました、お姫様」

『会長イタイです。私がでてくるまでドアの前でスタンバッてたんですか?ストーカーですか?』

「イタイとかストーカーっていうな!!」




そう言いつつ会長は私の腰に手をまわす。



離そうとしても離れないし
何この人変態?



会長がいるおかげか、難なく寮から出られた。



……これ、毎回会長買い物についてくるフラグ立ったんじゃない?



いつの間にか離れていた会長が「どこにいくんだ?」と言った。



『近くにスーパーあります?』



「一番近いのはあっちかな」



ビシと指差した方向へ歩き出す。



今日どうしようかな……肉じゃがとかにしようかな。

炊き込みご飯とかもいいかな!!



スーパーについてからそんなことを考えてぐるぐると食品を見て回る。



カゴを押してついてくるのは会長。
せっかくだから会長に荷物持ちをさせておこう。



材料をたくさん買って、帰路につく。



「こんなに食うのか……太るぞ」



いいよどうせもう太ってるみたいだし!!黒松くん曰く!



部屋について「ほら」と荷物を渡される。



『ありがとうございました』

「どういたしまして」



笑って会長は自分の部屋に戻った。



早めにご飯作っちゃおう。



私は少しだけ多めに作ってみる。



会長の口に合えばいいけど……


いや……お礼ってだけだし。

合わないなら食べるなって話だよね。

荷物持ちさせちゃったお詫び!うん!!



料理を作り終えるころには夕御飯には少し早い時間。



……渡してこよう。



部屋を出て、隣の部屋をノックする。



「はいはーい……妃代?どうした?」



不思議そうな顔をした会長の前に皿を差し出した。



『……さっきのお礼です!!』



会長に押し付けて部屋に戻ろうとする



手を掴まれた。



「ありがとな。なぁ、どうせなら一緒に食べないか?人と一緒に食ったほうが美味いだろ」



無邪気に笑う会長。



否定の言葉を許されない気がして。



『……いいですよ?私の部屋で、食べますか?』



「おう!妃代が心を開いてくれて俺は嬉しいぞ!」



開いたつもりはありません!!



会長が部屋に入ると「キレイな部屋だな」って言ってきた。



そりゃあ今日はいったばかりですからね。



ちょっと早いけど、ご飯を食べることにした。



「『いただきます』」



2人で他愛もない話をしながら食事をする。



まぁ、楽しかった、かな?



「ごちそうさま!あー、久々に手料理食ったー」

『は?』



「たいていカップラーメンとか、たまに外食だからな。卓哉……あ、友達な?が作ってくれるって言ってるけど家遠いやつに迷惑かけるわけにもいかねーし?」



よく倒れないなこの人!



『たまに……』

「ん?」

『たまになら……作ってあげても、いいですよ』



その言葉を聞いた会長は笑った。



ありがとな。と言って私の頭を撫でる。



たまになら一緒に食べてあげないこともない。うん










 

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