僕への罰と僕の罪
「人狼さん、少しお話いいですか?」



カグラの言葉にノアは首を傾ける。

なんだ、いなくなるもんだと思ったのだが。


彼女に近寄れば、彼女はにっこりと笑う。


「何?」




「あなた、もうすぐ死にますよ」


その突然のカグラの言葉に、ノアは驚いた様子も見せない。
サングラス越しに見えない瞳のせいでどう思っているかはわからないが、口元は笑っていて、眉は下がっていた。


カグラはノアに視線を向けて
「……自分でもわかっているんですよね?」
そう告げる。


「わかってるよ。死期が見えるの?」
「あ、はい」
「霊媒師さんかぁ、すごいなぁ」


ノアは頭を軽く揺らして肯定する。


「マツバは治療法を見つけたいって言うけど、実際に医療に素人な俺らがそんなことできるわけないってわかってる」


ノアが頭を掻いて頭を俯かせた。
どこか寂しげなその言葉に、カグラは静かにノアを見つめた。




 

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「見えない臓器の名前は」
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