5-1:真夜中学校[ 2/9 ]
はぁ、と溜め息をついて智くんが歩き出す。
そんな理由で成績が下げれるわけない、ということか。普通に考えれば、それもそうだよね。
「あ、みんなで行っちゃおうぜ! 『赤信号、みんなで渡れば怖くない』って言うじゃん!」
順平はニコニコと笑顔を浮かべながら歩いていく。
由美も、ちなも、順平もわざわざ来てくれてありがとうね。
賢ちゃんの我儘に……お母さんか私は。
みんなで歩いていき、学校の中に入る。
「暗いなぁ」
こんな夜じゃ、当たり前だけど電気もついていないし持ってきた懐中電灯だけが頼りだ。
「本当に肝試しじゃあんこれじゃ」
ちなが懐中電灯を眺めながらそう独り言ちた。
本当にね。
廊下を少しだけ歩き進んだ頃だった。
後ろから、コツン、と靴音が聞こえた。
……気のせいかな?
気のせいだと思いたいものの、こつりこつりと足音が僅かに響いている。
それは他の皆にも聞こえたようで、周りを見渡すと各々が怪訝な表情をしているように思えた。
「……何か変な音聞こえねぇ?」
賢ちゃんの言葉で全員が頷いた。
話し合った結果、全員で振り向くことにした。
「いっせーのっ!」
一斉に言った言葉を合図に、全員で振り向く。
そこに立っていたのは……長髪のいかにもお化け、という人だった。
人なのだろうか、お化けなのかもしれない。
……って、お化け?
全員が恐怖で叫ぶ。
皆が叫びながら様々な方向に散っていく。
誰がどちらに行ってるのかもわからないけれど、私も皆と同じでそれどころではなく走って逃げていた。