4-2:俺はお前が、[ 4/8 ]
順平はいい人だ。優しいし、真面目そうだし。
でも……
順平は少し黙り、顔を上げた。彼の表情は笑顔だった。
「結果はわかってたけど、言わないとスッキリしないからさ。あの、これからも友達でいてくれよ」
無理して笑ってる、そんな笑顔だった。
「……うん! もちろんだよ!」
それから、また沈黙が訪れる。再びの気まずさと、恐怖感。
観覧車をもう少しで降りる頃、順平が「あのね」と言った。小さな声で、言った。
「この観覧車、1番上でキスをすれば永遠に結ばれるってジンクスがあるんだ。華、溝渕とできるといいね」
物語にありがちで、それでもロマンチックで、恋人にとってはいい理由付けになるものなのかもしれない。
その言葉を言い終わった時にドアが開く。
ロマンチックだとか、そんなことじゃなくて。
「え……!?」
なんでそこで玲が出てくるの!?
順平はにっこりと笑って「帰ろうか」といって前を歩き出す。
――その時だった。
前から来た誰かに手を引っ張られ、観覧車に無理やり乗せられた。ばたりと閉じた観覧車の扉が再び私を恐怖に連れていこうとしていることを冷たく物語る。
同じく驚いたような顔をする順平の表情が、段々と離れていった。
深く帽子をかぶった男が、どかりと進行方向の椅子に座ってみせる。
だ、誰?
折角降りることができたのに……恐怖から解放されたと思ったのに。
手を引っ張った人物を睨み付ける。もしかしたら涙目になっていて、迫力などないかもしれない。
「だ、誰!? ふざけないでよ……!」
「俺」