3-4:愛しい、君の想い出side賢介[ 2/6 ]


「もう、5時間目始まりますよ?」


 時計を見ると、授業開始の時間になっていた。
 この時間は、5組の授業だったっけ?



「……ありがとうございます」



 軽く礼を言って、教科書と名簿を手に持ち教室へと向かう。
 小説を読んだことを胸に、もやもや感を持ちながら。

 俺は階段を上り、廊下を急いで歩いていく。


「おらっ、席につけー! 授業すんぞ、じゅっぎょーう!」
「テンション高ぇよ」



 何もなかったように明るく振る舞い教室に駆け込む。

 教室に入れば、全員が雑誌やら漫画やらゲームを片付けて席についた。
 昼休みだったからかゲームをやっていた人間もいたのか。
 そもそも娯楽道具は禁止だからな。俺が没収しないからって調子に乗りやがって!


 まぁ面倒くさ……大切な物を取られるのって悲しいだろうし、俺は没収したりしないけど。


 教壇から見ると、玲が自分の席に座っていた。

 寝てるわけでもない。
 珍しいなぁ、あいつがいるの。


「おーい、玲。最近授業出るようになったらしいなぁ。村田が言ってたぞ」
「んー……あぁ」



 素っ気ない返事が返ってくる。
 まだ、やる気はあんまりないのか。

 まぁ、出るようになっただけ良しとしようか。
 ……玲の合格ライン低すぎだろ。まぁいいわ。



「んじゃ、授業始めるぞー。教科書32ページ開けよ」





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