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9月拍手(灰崎、鬼道、水神矢)

■トンボ(灰崎)

「暦の上だけもう秋だ…」
「暦の上では、だろが」
「旨いでしょう」
「旨くねぇ。大体9月上旬なんかこんなモンだろ」
「ちぇー。凌兵、最近私に冷たくなーい?
泣きそう」
「あぁン?」
「あっトンボだ!紅いからアキアカネかな?」
「オイ…どこの誰が泣きそうだって…?」
「女心と秋の空」
「うるせぇよ!どの口が言ってんだ!」
「名前の口が言ってます。
ねぇそれよりアキアカネ、私の指に来たら写メ撮って!
茜ちゃんに見せる」
「そんな簡単に停まるかよ…」
「言ったね?見ててよ、私上手いから」
「へーへー」
「…、…」
「(コイツ虫とか平気なんだよな…)」
「…、…、…、」
「(ま、キャーキャー喚かれるより鬱陶しくねぇけど)」
「…!(凌兵〜!)」
「…?!(マジでやりやがった)…、動くなよ」
「(うん)」

カシャッ

「ほらねー!私天才!」
「ちっ」
「綺麗に撮れた?見せて〜」
「俺にやらせたんだから撮れてねぇ訳ねぇだろ、ホラよ」
「本当だ!良い感じで写ってるじゃん!
凌兵もなかなかやるね〜」
「うっせ。…で?保存しときゃ良いのかよ」
「うん?凌兵のケータイの容量取るの悪いし、茜ちゃんに送ったら消したら良いよ」
「…別に消さねぇよ」
「え?残すって事?」
「悪いかよ」
「ううん、意外に大切にしたくれてると思っただけ。
じゃあ私も凌兵の写真撮って持っとこっと!」
「は!?止めろ、俺は要らねぇ」
「えー、つれない事言わないでよ〜!
凌兵にもトンボの停まらせ方 伝授するから」
「やらねぇ」
「何でよ、折角じゃない。お揃いでやろ!」
「…、…、…はぁ…。
1回やって無理だったらもうしねぇからな」
「やったー!よし、早速コツを…」
「手短にやれよ、日が暮れたら家まで送るの俺なんだからな…」


■秋の気配(鬼道)

「おはよう名字!」
「おはよう円堂君。
ちょっと朝晩涼しくなって来たね〜」
「えー、そうか?俺はまだ分っかんないなぁ、寒くてもサッカーしてたら汗だくになるし!」
「あ…そっか、そうだよね。
皆は部活で沢山動くもんね」
「それを言うなら名字もだろ、今日も宜しくな。頼りにしてるぜマネージャー!」
「はぁい」



「(やっぱりまだまだ暑いもんね…。
秋に近づいたって思ったのは私だけかぁ…)」
「…名字か。おはよう」
「あ、鬼道君。おはよう!
今日ちょっと涼…、あ、暑いね…?」
「何で言い直した?」
「いやぁ、あはは…。
朝と晩の気温、ちょっとマシかな〜って思ってたんだけど、周りから浮いてる気がして」
「…お前、早起きで夜遅いだろう」
「えっ」
「俺も同じだからな、言ってる事は分かる。
日中は然程変わりなく思えるが早朝深夜は過ごしやすくなって来た気がする」
「…そっか。良かった〜仲間がいて!」
「ふ、そうだな」
「ありがとう鬼道君、元気でた!」
「俺は何もしていない、こんなものは個人の感覚なんだからな。
さて…世間話はこのくらいにするぞ」
「あっそうだ朝練遅れちゃう!
じゃあ、今日も宜しくお願いしま〜す!」
「あぁ、こちらこそ」


■秋の不調(水神矢)

「(うぅ…秋雨前線やら気温差激しいせいかな…体調最悪…)」
「名字」
「あ…水神矢君…?どうかした…?」
「あ、いや…特に用事は無いんだが教室の外から見かけたらぐったりしているから心配になって…大丈夫か?」
「そっか、ありがとう気にかけてくれて。
ちょっと調子が出ないだけで大したことない、よ…」
「そんな風には見えないが…風邪か?」
「う〜ん…、…気圧のせいかな、とか思ってるんだけど…分かんないや」
「そうか。でもあんまり無理するなよ、今の時点でもう顔色良くないぞ」
「んー…。後1時間だから頑張ります…イテテ、頭イッタぁ…」
「…名字、やっぱり今から一緒に保健室に行こう。我慢していても良い事ないだろう」
「え?いや、大丈夫だよ本当に…って言うか行くとしても1人で行けるよ水神矢君」
「駄目だ、階段でふらっときたら転げ落ちるだろう。
首の骨を折ったり、打ちどころが悪かったらどうするんだ」
「具体的過ぎて怖いよ」
「だったら早く行こう、俺も付き添うから。
名字が倒れそうなのを見過ごす訳にはいかない」
「いやいや、そんな…。キャプテンとして責任感強すぎるくらいだね水神谷矢君は。
こんな事では倒れないから大丈夫だよ〜。
でも…うん。サッカー部に心配かけたら駄目だし、保健室は後で寄ってみようかな…」
「…」
「…?」
「…その、」
「?」
「キャプテンとしてじゃなくただ俺が、本当に名字が大丈夫かどうか知りたいから…一緒に行ってくれないか、今」
「えっ…!」
「嫌か?」
「あっ…いや、あの…そんな事は…」
「…」
「…い、行かせて頂きます…」
「良かった、ありがとう名字。じゃあ、行こ…大丈夫か?
手を引いた方が良いか?歩けそうになければ背負うが…」
「だ、大丈夫…隣歩いてもらうだけで十二分だよ…!
(うぅ、ドキドキしたから余計頭に響いてきた…)」

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