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1日目:河川敷100往復

―――…某所某日。
稲森明日人こと俺のいる伊那国イレブンは、遂に雷門中にやってきた!

…んだけど。
サッカー部休止中の理由とか、スポンサーの件とか、俺たちの周りで起きてる色々な事を聞いてやっぱりちょっと不安になった。
中でも驚いたのは。


『知っているだろうと思うけど、彼女は名字さん。雷門中の部員で強化委員として君達に力を貸してくれる事になりました。共に励んで下さい』
『初めまして、名字名前です。元々DFだったけど、どこでも入ってサポート出来るよう頑張るのでよろしくお願いします』


俺たちにも強化委員がつくって言う事!これって凄い事だよね…!?

ニコニコと親しみやすそうな笑顔に癒されたり、あのフットボールフロンティア優勝メンバーの一人と部活出来るなんて!と感動したり。
それぞれ思う所はあったと思うけど、とにかく今はサッカー続ける為に、1勝目指して練習だ…ーーー!



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「…と思ってたのに…!」
「まぁ、基礎練習は大事だからねぇ」


伊那国イレブンと名前が監督から言い渡された初日メニューは河川敷100往復。今まさに走ってる最中である。
初日だけならまだ良いものの、2日目からも結構な基礎練習だった。


「ったくよぉ、お前も『強化なんたら』なんだろ!?何であの監督に言ってやんねぇんだよ、こんな事してる場合じゃないって!!」
「剛陣さん!名字さんに失礼だから!!」
「敬語!せめて丁寧語使って!!」
「あ、全然気にしないで?」


のほほんとそう返す名前だったが剛陣の問いには答えを返す。


「私は基本的に、監督とかコーチの意向に沿ってチームの強化をサポートしたいと思ってるから…あんまり無茶な事だったら意見は言うけど」
「今そん時だろ!」
「今日はボール触っても効率上がらないんじゃないかな?だって長距離を移動してきて、色んな人に会って挨拶もして…色んな事一気に変わり過ぎて…皆、疲れてない?」
「ム…」



練習が終わっても、その後は荷解き作業、授業の準備。体力的には勿論の事、無意識下で精神的にも疲労は溜まっているはずだ。



「焦ってボール触るより、今は一生懸命この練習こなして気持ちの方を高めていこうよ。ウォーミングがてら」
「…わーったよ!取り敢えずそういう事にしといてやる!!くっそ、何か言いくるめられたみてーで腹立つぜ」
「いや、実際そうでしょ…剛陣先輩単純すぎ」


奥入が冷静に突っ込むとチームに笑顔が浮かぶ。雰囲気の良い、素敵なチームだと名前は思う。



「それとね…練習の合間、私に皆の事を沢山教えて欲しいんだ」



どうしてここに来る事になったのか。何をしに来たのか。何をやりたいのか。
どんな風にやりたいのか。どうすればそれは叶えられるのか。

大雑把にサッカー協会の人は教えてくれたけれど、本人たちはどんな風に思って、考えて、今ここにいるのか。それが分からない限り名前はきっとこの11人の力にはなれない。



「皆の気持ち、きちんと分かっていたいから」



改めてよろしくね、と言うと伊那国イレブンからは『おっけー!女の子同士、何でも聞いちゃって!』『僕らもお話色々聞きたいです!!』『特に俺らは同じDFだしな、参考になりそう』などなど友好的な言葉が返ってきた。


河川敷100往復をややきつく感じながらも、少しほっとした午後だった…―――。












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明日人君はとても前向きで見てても書いてても元気になれる。

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