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初日:プロローグ

「−−−…伊那国島?」
『そう、そこのサッカー部員が丸ごと雷門中へ編入することになってね。
 名字さんにはそのサッカー部をサポートして欲しいんだよ』


久しぶりに家でゆっくりしていたら、サッカー協会の偉い人が突然電話をかけてきた。
何か出先でやらかしていたのだろうかとハラハラしながら話を聞いていたが、
蓋を開けてみれば強化部員としての派遣の話だった。

名前は去年、雷門へ転校してきてキャプテン・円堂守の熱い勧誘の末に入部。
そのままフットボールフロンティア優勝メンバーの1人となった経歴がある。

本来なら他のメンバーのようにどこかの中学に派遣されているはずだが、
これまでは一所に留まらず、期間限定で複数の中学のサッカー部に行ったり来たりしていた。

それが、この度派遣先が決まる運びとなったのだ。


『島の中学にはスポンサーがつかなくてね、サッカー部は廃部になるしかなかったそうだ。
そこで雷門と言う枠が役に立つなら、と雷門中の校長が厚意で提案をしたんだよ』
「なるほど…」


選手たちの健康管理やサッカーの技術向上の支援など、スポンサー制度の公益は大きい。しかし表と裏、利益と不利益のように悪い面がない訳ではなく。
その影の部分がモロに出てしまった例なのだろう、その伊那国イレブンは。


『まぁ、結構無茶な事をしているからスポンサー側の登録や申請が遅れたりしているらしいが…そこは私たちも多めに見なければならないと思っていてね…−−−』
「…?そう、なんですか」


しかしそんな事ってあるのだろうか。
聞けば1週間後には試合、それも名だたる強豪・星章学園とのフットボールフロンティア出場権をかけた大切な試合だ。
そんな大舞台ならスポンサーの広告も大きく出る。そもそも契約されてないチームは出場権がない。

それなのに、悠長に『遅れてます』なんて。


「(…これは、校長先生に聞いてみないといけないかな?)」


何にせよ、行ってみなければ分からない。
聞いた話だけで全てを把握できる程、自分は万能ではないと名前は知っていた。


「(伊那国の人たちと、仲良くなれるかな…?)」



それまで自分を仲間と迎えてくれた雷門の部員たちを思い浮かべながら、
名前は編入の日程を手帳に書き留めた…−−−。











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どう続くか分からない原作沿い、始まります。
気長にお付き合いくださいませ。

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