12.3.13 行き止まりの迷路
俺が水色だったなら、少しだけなにかはかわったのだろうか。
俺が師匠と同じだったなら、ずっと共にいられたのだろうか。
「迷子なの?」
白に近い透明になれない暖色をもつ、幼子が俺に問う。
「……どうかな?」
疑問に疑問、曖昧な答えは何も生み出さない。生み出すことなんて、ない。
無表情に俺を見つめる凪は、真上にある俺の顔を見るために、力いっぱい首を痛めながらも目線を合わせて再度問う。
「紫煙は、さみしい?」
彼女は感情を込めず、淡々と自身の思いをぶつけてきた。
凪は目線を外さない。
俺は時折視線をどこかに投げながら、真っ直ぐな瞳に堪えられずに呻く。
「紫煙?」
俺の名を呼ぶ凪に、俺は答えることが出来ない。
そのうち静寂に包まれる凪の中で、さざ波も立てずに俺の心は音を閉ざした。
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(紫煙、寝てるの?)
(紫苑ったら寝ているんですか?)
「(別に寝てないさ)」
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