咎めないで
許さないで
まだ此処で凍えていたい


あれは確か夢見の丘の
月の在処を探した道で
君と結んだ言葉の欠片
僕が拾った理の種

あれは確か夕澄みの森の
指切りの仕方を覚えた道で
君が夢見たあの花咲くや
僕が拾った理の種

空の下には海があること
僕たちはきっと忘れていて
指切りの先には罰があること
僕たちはそれが分からなくて
記憶の狭間に降りだした雨
僕たちは方舟の作り方なんて
知らなくて

何が罪だとか罰だとか
囁く声が鼓膜を破り
あの花咲くや何処へ何処へ
呼吸は飲まれて泡になる

真実なんて君にはあげないよ
このままこのまま僕を
咎めないで


光の下には影があること
僕たちはまだ忘れていたくて

ああねえ 何処へも行かないで


何が罪だとか罰だとか
ほらもう誰にも分からなくて
あの花咲くや誰が為に
呼吸は揺らいで唄になる

真実なんて君は知らなくていい
このままこのまま僕を
許さないで


咎めないで
許さないで
まだ此処で君と凍えていたい

君の真実なら僕でいい
僕は君にだけ嘘を吐かない
鎖のように楔のように
このままこのまま僕を
忘れないで


あれは確か夢見の丘の
月の在処を探した道で
君と結んだ指先の秘密
僕が隠した理の種









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