ゆめみてわたる




灰色の空の下
傘を揺らして君は行く
ご覧よ風船が飛んでいる
見せたがりな僕の指は
見えているかい

ご覧よ風船が飛んでいる
鳥が空を切り抜いて
ご覧よ雨はそこから降るのか
知りたがりな僕にほら
聞かせておくれ

るりら りりら
この手はオルゴォル
君がいなくちゃ踊れない
朝日を織って創った五線譜に
君が模様をつけておくれ

るりら らりら
この足はオルゴォル
君がいなくちゃ回れない
雨粒の音符を捕まえておくれ
夢見たがりな僕のために

透明な傘の下
眸を揺らして君は行く
ご覧よ風船が降りてくる
教えたがりな僕の言葉は
分かるかい

鳥はどこかへ飛び去った
ご覧よ虹はそこから来るのか
訊ねたがりな僕にほら
仕方ないねと笑っておくれ

るりら りるら
この声はオルゴォル
君がいなくちゃ歌えない
真昼の眠りで創った休符を
日差しに絡めて並べておくれ

るりら るるら
この歌はオルゴォル
君がいなくちゃ響かない
夕焼けの指揮棒で唱えておくれ
僕の声が嗄れぬようにと


るりら りりら
君はテディベア
白磁の衣装で回る夢
腰に抱えたぜんまいを
誰にも秘密で回しておくれ


るりら らりら
僕はオルゴォル
君がいなくちゃ歌えない
月の舞台で叫んでおくれ
雨はどこかへ飛び去った

るりら るるら
僕はオルゴォル
君がいなくちゃ笑えない
夜の帳を降ろしてしまえ
ぜんまい回して話そうか


るりら りりら
僕はオルゴォル
いつもの歌をいかがかな?



ゆめみてわたる




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