時のアメリア


あなたが残してくれたのは
迷宮仕立てのこの心
リコリス色の記憶の中
褪せないあなたの横顔は

ああ 今でも微笑ったまま
私の最の果て佇み続ける

失くしたのはあなたではなく
この手のひら 積もった銀の砂
降る雨の声にかき消され
嘆かないで アメリア


あなたが探していたものは
迷宮の奥に今もまだ
両の目を塞がれたままで
あなたの姿を探してる

ああ 時が戻せるのなら
私のこの心 あなたに開いて

閉ざされたままの迷宮で
彷徨うのは 私の横顔
募る想いの丈の中で
ひとり歩く アメリア


いつの日かこの迷宮が
朽ちて風に晒されるなら
壊れる前に強く抱いて
そのすべてで胸を貫いて


失くしたのはあなたではなく
この手のひら 積もった銀の砂
降る雨の声にかき消され
叫び上げる アメリア

鍵のないドアのその向こう
この手のひら 握った銀の砂
世界の果ての遠い場所で
あなたは呼んでいる

降る雨の声にかき消され
嗄れた喉をもう許して
崩れ落ちた迷宮の底
愛を謳う アメリア



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