ルルムーシュカ


砂糖漬けの瓶の底で
ゆら ゆら ルルムーシュカ
踊る野薔薇を掬い上げたら
ゆら ゆら ルルムーシュカ
始めましょう

街角のその隅
落ちていたのはこの絵本
手探ったページは
魔女に捧げるこのお菓子

野薔薇をひとつ荊の中に投げ込んで
月の光に晒した水で夜明けまで
まだまだ時間はかかるので
眠れない ルルムーシュカ

時計台の文字盤で
ゆら ゆら ルルムーシュカ
歩く針の先をひと欠片
ゆら ゆら ルルムーシュカ
続けましょう

銀色のフォークに
突き刺したこの林檎には
甘い誘惑の
琥珀色の蜜 閉じこめて

お菓子作りは終わらない夜が明けても
星を映した鏡の欠片溶け出して
それでも甘さが足りません
眠れない ルルムーシュカ


美味しいお菓子はいかが
どんな魔女にもこれひとつ
不思議なお菓子はいかが
どんな少女も手を伸ばす
魔法のお菓子はいかが
罪なき可愛いあなた


宝石箱の指輪をひとつ投げ込んで
夜の涯から拾った砂糖が尽きるまで
さあさあお味はいかがかと
手を出した ルルムーシュカ

野薔薇をひとつ荊の中に投げ込んで
月の光に晒した水で始めから
ああもう砂糖は足りなくて
眠れない ルルムーシュカ


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