赤い意図



雪の花を摘んだ手が
僕の右の頬を撫でた
冷たい指の先に一つ
揺らぐ灯火を潜めて

君の呼吸の一拍
私が代わりにあげる
この世界を君が厭うなら
大気に代わって生かしてあげよう

柔らかな瞼を下ろし
独白の如く君は囁く
やがてそれは現実に
僕の唇を以て成った

君の呼吸の一拍
私が奪ってあげる
この世界を君が厭うなら
吐き捨てる前に此処へ頂戴


ぐるり回る愛も憎も
爛れた喉には痛いだけなら
とびきりの蜜でも同じこと
吐息に込めた初恋とやら
おやすみ


雪の花を摘んだ手で
君の頬に爪を立てる
接吻なんて繋がりは
唇だけで成り立てる

「君の呼吸の一拍」
「僕が抱き締めてあげる」
「この世界を君が厭うなら」
「傷つける前に僕がその手を」


ぐるり滲む点も線も
閉ざした目には見えやせず
隙間に埋めた初恋とやら
とびきりの蜜で蜘蛛の意図
だいすき




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