密室、異常はない



また脆弱な朝が来て
僕の冷静は溶けだしてしまう
額を寄せた闇たちが
夢と名づけられ 淘汰されていく

本当の僕の目は
今 どこに

朧気な世界が雪崩れ込み
この部屋の小さな窓は割れる
役に立たない声を張り上げ
雑踏と化していく
楽園を罵った

他人行儀な憂鬱で
僕の明滅は消え失せてしまう
碧一色の交信は
明けてゆく空に 隠されてしまう

本当の僕の目は
今 どこに

水流が線路を運び込み
小さな部屋には列車が通る
立ち尽くした僕を顔のない
人々が見つめてく
平静を踏みつけて

知らない街が親しい顔で
この部屋に この場所に
再構築されていく 朝

朧気な世界が雪崩れ込み
この部屋の小さな窓は割れる
役に立たない声を張り上げ
雑踏と化していく
楽園を後にした



(密室、異常はない)




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