第二章


当たっているからこそ、苛立ったということなのだろうが。知り合って数日の赤の他人に、話す気もなかった過去の話をパズルのように組み立てて話されて、少し土足で踏み込まれたような気分になったというのか。そんなものだ。ささやかな抵抗としてらしい、と語ったが、私を育てた人が嘘をついたとは思っていない。おそらく事実だろう。目の前の彼もまた、憶測がさほど間違っていない確信があるのか、それ以上の追及はしようとしなかった。代わりに、思い出したような素振りで次の問いが投げられる。
「志望動機を見させていただいたのですが……、具体的にはどの書物を?」
「……それは、色々と」
「色々、と言いますと?」
「……主に“レヴァス”です。あとは、あれを読み解くために必要な古代文字の辞書だとか、古代魔法の法則の書だとか」
一度は濁してみたものの、引き下がってはもらえそうになかったので正直に話す。悪いことをしているわけではない。とても良い行いとは言えないが、良い成績を取り、正当な権利を持った上で違法な書を読んでいる。だが、こうして口にすると少しだけ視線を逸らしたいような心地になるのは、やはりどこか罪悪感があるからだろう。それは読んでいる禁書の、そのまた分類によるところが大きい。“レヴァス”は禁書の中でも、異様な存在だ。あれは強い魔術や封じられた歴史の真相などには、一切触れる気がない。


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