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二度目の遭遇はすぐだった。俺らFBIが探していた男3人の居場所を掴みそこの廃墟ビルに単体で潜入している時だった。
男3人が話している部屋のドアの近くで小さな気配がした。見れば、まさかのあのシャーロック・ホームズを超えるなんて言った女の子がいた。男3人に集中しているのか、こっちの気配に気付いてないらしい。…流石に此処は危ないだろう。
口を手で覆い、離れた場所へ移る。その間しゃーろっくはジタバタと暴れ、赤井秀一の手を噛んだりと抵抗した。手を離すとしゃーろっくはすぐ距離をとり俺の顔をみるなり、焦った顔は消え、ぎょっとしていた。


「あ、赤井さん…びっくりさせないでよ…」
「それは俺のセリフだ。ガキがいていいような場所じゃない。帰れ」
「むっ…。先にいたのは私だよ。早いもん勝ち」
「はぁ…ここからはこっちの領域だ。手を出すな」
「赤井さん最近イギリスに来たばっかりだよね。ならここは私の領域」
「……最低限の事なら受け入れる」


そう言えば彼女は嬉しそうに笑顔を向けた。
言い負けた訳ではない。ただ時間が惜しいだけだ。こんな言い合いしているうちにも何が起こるかわからん。


「私も連れてって」
「それが最低限か…」
「うん。ほら、早くいこ!」


手を引かれて気配を殺しながら男3人がいる部屋に近付く。監視カメラはない。


「…お嬢ちゃんはどうやって行くつもりだったんだ?」
「力づく。その場しのぎでがんばる」
「そうか。説教したいところだが…俺も力づくがいいな」


しかし相手は3人。少しタイミングがずれればしゃーろっくに危険が及ぶだろう。…少し考えよう。


「あ、忘れてたんだけど1人多分そろそろ寝るよ」
「は?」


睡眠薬をこっそり飲み物に混ぜたららしい。壁に耳をたてると、声が聞こえた。


「あ?なんでコイツ寝はじめてんだよ…」
「寝すぎなんじゃねぇの」


「ね?」
「……お嬢ちゃん………」


やはりとんでもない子だった。なんて恐ろしいんだ…。敵に回したらそれが最後だ。本当にシャーロック・ホームズを超えるのか?

突入してからはあっという間だった。1発、2発素早くぶっ放し、しゃーろっくはどこからか持ってきたガムテープで目と口をふさいだ。
そして手錠をし、外にいるもう一人のFBIを呼ぶ。


「んじゃね、赤井さん」
「待て」


細い腕を掴んだ。細く、柔らかい。よくこんな場所に来れたものだ。


「送ろう。寄り道しないようにな」
「ほんと?やった!」



無邪気に笑うこの子はいつの日か癒しになった。






デッドライン・スパイダル

mae ato


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