真夏日




「暑い……」



今日は真夏日だ。
セミがミーンミーンと鳴いている。
村塾の子達も暑さにやられてバテている。

梅雨の次は夏か。
夏は私は嫌いだなー……。

何たって暑いしやる気も失せてしまう。



「菜緒……冷たい物くれー……」


「暑くて死にそうだ……」


「菜緒殿…。俺はもう駄目だ……」



床の上でバテてていた3人が私にしがみつく。
暑いが何とか我慢する。
と言うか暑いと言われても仕方がない。
私にどうこう出来ることではない。



「私も暑いよ。だから……私が何とか出来ることじゃないし…」


「じゃ、せめて冷たいものねぇか!?」



だから、あったら私が使ってるって。
だけど、一応良い方法がないかと考えてみる。

夏は暑い。
なら、アイスはどうだろう。
いや、駄目だ。
まず冷蔵庫がないから作れない。
それでは他はないのか……?

考えても中々出てこない。
が、私は良いことを思いついた。



「じゃ、プールに入ろうか」


「「「プール?」」」



疑問を抱く3人に上下に頷く。



「プールはね、大っきい入れ物に沢山冷たい水を入れてね、みんなでその水の中に入って遊ぶんだ」


「誠か、菜緒殿!」


「やるやる!俺、プールってやつに入ってみたい!!」


「俺も入るぜ」



みんなはウキウキしながら立ち上がった。
プールに入ると決まったので、私は庭に出てプールの用意をすることにした。
プールの準備が終わったら私は村塾の子達を全員呼ぶ。

プールの入れ物は良いものがあまりなかったので、風呂場と丁度良い大きさのビニールの入れ物にした。
半分の子達は庭。
もう半分の子達は風呂場とわけた。
私は庭の子達を面倒見ることにし、ホースを持ちながら子供の方に体を向けた。



「よし。じゃ、みんな!この水が浸っているビニールの中に入って遊んでね」



そう言うとみんなはきゃーとかわーいとか言いながらはしゃいでプール(的な物)に入っていった。
子供は着物ではなく、下着姿。
まぁ、水着がないから仕方がないだかろう。
女の子は流石に着物をまくりながらプールへと入っているが。



「菜緒!入らねーのか!?」


「冷たくて気持ちいいぞ!!!」


「こっち来いよ」



いつものように誘ってくる3人に私は首を振る。



「いや、私はいいよ。焼けたくないし…」




そういうとふーんと言ってきた。
ってか下着で入りたくないからね、私。
恥ずかしすぎて死んでしまいそうだ。

太陽の光がみんなに当たり、子供達はその太陽の光で輝いて見えた。
そんな子供達を見て私はホースから水を出し、子供達にかけてやった。
水をかけられた子供達は嫌がってるのか、それとも嬉しがっているのかはわからないがきゃーっと叫んでいる。
でも見た感じ楽しそうにしているのできっと嬉しがっているのだろう。
ずっと水を上から被るようにして水をかけていたら子供達が何かを見て騒ぎ出す。



「どうかした?」



水を出しながらも私は屋根の下で聞いてみた。



「菜緒!虹ッ、虹!!」



そう興奮しながら話す銀時君を聞きながら私は空を見てみた。
が、虹なんか1つもない。
まず、雨も降ってないのに空に虹がかかるわけないだろう。

じゃ、何を見て虹だと騒いでいるんだろう。
子供達をよく見れば、みんな私が出しているホースの水の所を見ている。
やっとわかった私。
虹はあの水から出てるんだ。きっと小さい虹だろう。



「こんな間近で虹見るなんて初めてだぜ…。菜緒すげーな!!」


「あはは、そうだねー」



子供達は楽しそうにその小さな虹を触ろうと必死に手を伸ばしていた。
私は辺りに煩く響く蝉の声聞きながらまたホースの先を虹を見て感動している子供達に向けて、再び水遊びを開催させたのだった。





(こら、上がったら頭拭きなさい!!)

(へへーんだ!!)

(逃げろー!!)

(ちょっ、こっち来んな!!濡れるだろーが!)



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